小児歯科学雑誌
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神奈川歯科大学付属病院外来における外傷に関する実態調査
丹下 貴司時安 喜彦服部 啓吾高道 麻臣村上 鈴代川上 みどり佐々木 福子竹趣 史子松澤 光洋吉田 昌弘檜垣 旺夫
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1994 年 32 巻 3 号 p. 609-616

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抄録
1973年以降,顎顔面部の外傷を主訴として神奈川歯科大学付属病院外来を受診した0歳-19歳までの1838例(男児1158名,女児680名)を調査対象として,外傷の受傷年齢,性別,受傷年月日,受傷状態,処置内容などについて調査を行い,以下のような結果を得た.
1)当付属病院外来における外傷受診者は経年的に増加傾向を示した.また,小児歯科外来の初診患者に占める割合も増加し,近年は9.0%前後であった.
2)外傷の受傷型では乳歯・永久歯の外傷が全体の74%を占めていた.外傷受診者の月別分布では5-7月および9-10月に多くみられた.
3)年齢分布では1-3歳児に多くみられ,0-8歳児までの群が全体の80%を占めていた.また,この年齢群の小児歯科での受診率は62%で,低年齢児の外傷処置に際して,小児歯科の果たす重要性が示唆された.また,乳歯外傷では1-3歳児に,永久歯外傷では7-8歳児に多くみられた.
4)男女比では全体で男児:女児=1.7:1,乳歯外傷では1.5:1,永久歯外傷では1.9:1となり,永久歯での性差の拡大が認められた.
5)受傷部位は乳歯・永久歯ともに上顎前歯に集中してみられ,受傷状態は乳歯外傷では脱臼> 振盪>破折,永久歯外傷では破折>脱臼>振盪の順に多くみられた.
6)処置内容として,乳歯外傷では経過観察,抜歯,整復固定,歯髄処置の順に,永久歯外傷では整復固定,経過観察,歯髄処置,歯冠修復,再殖,抜歯の順に多くみられた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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