抄録
1979年9月から1993年5月までの13年9ヵ月間に新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した12,406人のうち,臨床的,病理組織学的にエプーリスと診断された21症例中混合歯列期以降の10症例について検討し,当教室で既に報告した乳歯列期のエプーリス11症例と比較した.
1)性別は男子2例,女子8例であり,年齢は6歳から28歳であった.成人例が2例含まれていたが,自閉症及び精神発達遅滞の各1例であった.
2)主訴としては歯肉の腫瘤を訴えて来院したものが4例で,その他の6例は全て歯科治療時あるいは検診時に発見された.
3)発生部位としては上顎に7例認められ,前歯部に6例,小臼歯部に1例みられた.下顎には3例認められ,2例は前歯部,1例は大臼歯部にみられた.
4)病変は全て10mm以内の腫瘤であった.
5)付着の状態は有茎性5例,広基性3例であった.
6)病理組織学的にはすべて炎症性のエプーリスで,肉芽腫性1例,肉芽腫性から線維性への移行型3例,線維性6例であった.
7)処置は10例中9例で局所麻酔下に摘出術を行った.1例は試験切除後自然消失した.再発した例はなかった.
8)誘因については歯の萌出,唇側弧線,外傷,歯の動揺が一因と考えられるものがあった.