抄録
新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来において昭和54年9月から平成6年1月までの14年4ヵ月の間に経験した12例の小児の顎骨嚢胞について臨床病理学的観察を行った.
患児の性別は男児7例女児5例で,年齢は5歳7ヵ月から13歳4ヵ月までで,10歳未満6例,10歳以上6例であった.
嚢胞発見のきっかけは,顔面の腫脹5例,口腔内歯肉の腫脹3例,X線写真で偶然発見されたもの4例で,疼痛を訴えたものはなかった.
部位は,上顎2例下顎10例で,上顎は側切歯・犬歯部,下顎は全例小臼歯部であった.
上顎の2例は,上顎前歯の外傷の既往があり,病理組織診断は,原始性嚢胞の疑いであった.
下顎の10症例の嚢胞は,パノラマX線写真上15~42mmの近遠心径があり,全例嚢胞上に,何らかの歯内療法を受けた乳歯が存在した.X線写真所見から,永久歯の歯冠を内腔に有するタイプと歯の側方に嚢胞が接するタイプに分類し病理組織学的に考察した.病理診断は,1例が原始性嚢胞,9例が含歯性嚢胞であった.
治療は,上顎の1例に嚢胞摘出一次閉鎖術を行ったが,11例では開窓療法を行い,嚢胞内の永久歯は全例保存した.
後継永久歯には,2例に歯根形成の異常が認められたが,エナメル質形成不全は認められなかった.