抄録
特発性血小板減少性紫斑病は急性型,慢性型,再帰型に分けられる.急性型は2歳から6歳の小児に多く性差はないとされる.本疾患は時に高度の歯肉出血を来す例がある.その際,適切で確実な局所止血が重要となる.
今回口腔内に多量の出血を伴った5歳女児が千葉県こども病院に受診した.初診時,上下顎の歯肉溝より持続する出血が認められた.臨床検査所見は白血球数7.7×103/μl,赤血球数392×104/μl,血小板数0.7×104/μl,プロトロンビン時間12.2sec,活性化部分トロンボプラスチン時間27.8sec,血小板結合免疫グロブリン265.6μg/cell,骨髄巨核球数94/μlであった.
臨床経過と検査所見に基づき特発性血小板減少性紫斑病の診断が得られた.
直ちに圧迫止血のためレジン製のスプリントを作成し,上下顎の歯列弓に装着した.それにより止血が得られた.同時に1日0.7g/kgの大量ガンマグロブリンを静脈内投与し,3日間継続した.4日後には血小板数は0.7×104/μlから5.1×104/μlへと上昇した.その時スプリントを除去したが,歯肉出血は認めなかった.1ヵ月後血小板数は26.5×104/μlに達し,その後減少しなかった.それゆえ急性特発性血小板減少性紫斑病の確定診断が得られた.
本症例では口腔内所見とガンマグロブリン療法が有効であり,血小板の補充を必要としなかった.