ビフィズス
Online ISSN : 1884-5134
Print ISSN : 0914-2509
β 1-4系ガラクトオリゴ糖のヒト腸内菌叢に及ぼす影響
石川 文保高山 博夫松本 圭介伊藤 正紀長南 治出口 ヨリ子菊地(早川) 弘子綿貫 雅章
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 9 巻 1 号 p. 5-18

詳細
抄録

(1) βガラクトシダーゼの転移反応を利用して乳糖から転移2糖を含むβ 1-4系ガラクトオリゴ糖混合物 (4'-GOS) を調製し, 腸内細菌叢構成菌株によるiIn vitro資化性試験およびヒトへの投与試験 (難消化性の検証および菌叢や腸内代謝活性への影響) を行った.(2) In vitro資化性試験において, 転移2糖は乳糖を利用可能な菌株に資化された.3糖はBifidobacterium属の5種と, Lactobacillus acidophilus, L. reuteri, L. salivarius, Mitsuokella multiacidus, Enterococcus faeciumとStreptococcus intermediusに資化され, 4糖はB. adolescentis, B. breve, B. infantis, E. faeciumに資化された.精製されたガラクトオリゴ糖の再構成混合物は2糖と3糖の中間的な資化性を示した.(3) 4'-GOSを投与したヒトから呼気を採取し, 含まれる水素ガスの有無を調べたところ, 20名中17名に顕著な水素ガスの発生が観察された.このことより, 4'-GOSは難消化性のオリゴ糖混合物であることがわかった.(4) 被験者をBifidobocteriumの比較的少ない人の群 (4'-GOSを2.5g/day投与した群) と比較的多い人の群 (10g/day投与した群) に分けて3週間投与したところ, 両群ともにBifidobacteriumが増加し, とくに2.5g投与群ではBifidobocteriudm菌数の維持も認められた.糞便中の胆汁酸量について, 両群ともに投与によってdeoxycholic acidの減少傾向が示された.また被験者各個人の非1次胆汁酸量 (deoxycholic acidとIithocholic acidとursodeoxycholic acidの合計量) では, 2.5g投与群で9名のうち7名 (78%) と10g投与群で8名のうち7名 (88%) に減少がみられた.糞便中の酢酸, プロピオン酸, 酪酸は10g投与群で減少したが, 有機酸全体に対する構成比率は変わらなかった.(5) 以上のことより, 4'-GOSはヒトに対して難消化性であることが確認されるとともに, Bifidobacteriumを増殖させることがわかり, さらに胆汁酸代謝にも影響を与える可能性も示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本ビフィズス菌センター
前の記事 次の記事
feedback
Top