抄録
1990年5月から1992年8月までにカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の日帰り全身麻酔手術施設であるSurgery Centerにおいて歯科治療を実施した小児歯科患者156名の特徴とその治療内容について調査検討し以下の結果を得た.
1.患者の種類及び年齢は健常群が156名中97名(62.2%)平均年齢3.3±1.2歳,全身疾患群22名(14.1%)平均年齢5.0±2.4歳,心身障害群37名(23.7%)平均年齢10.4±7.5歳であった.
2.全身疾患群の内訳は心疾患7名,血友病6名,他の血液疾患2名,白血病4名,その他3名であった.
3.一人平均処置歯数は健常群10.3歯,全身疾患群9.5歯,心身障害群7.6歯であった.
4.心身障害群では全顎の歯肉切除術(11例),縁下歯石除去(8例)を主目的に全身麻酔下歯科治療を実施した症例もみられたが,他の2群にはこのような症例は認められなかった.
5.麻酔時間は2時間以内の症例が77.5%で,その平均時間は健常群,全身疾患群がともに2.1時間,心身障害群が1.7時間であった.
6.術中1例に呼気ガス異常が認められたが,全症例の術後回復に問題はなく全身麻酔下歯科治療当日帰宅した.