小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
外傷を受けた幼若永久歯の予後に関する研究-歯髄切断法の長期的予後について-
宮新 美智世松村 木綿子石川 雅章
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 32 巻 5 号 p. 987-994

詳細
抄録
歯髄切断法の術式と長期的臨床経過を検討することを目的として,外傷により歯冠破折をきたした幼若永久歯64歯に対して,歯髄切断後長期にわたり臨床的X線学的な経過観察を行った.患児は60名で初診時年齢は平均9歳3か月,経過観察期間は3年から19年まで平均10年1か月であった.その結果,46歯(72%)が経過良好であった一方,術後5年以内に歯髄炎もしくは歯髄壊死が18歯(28%)に認められたが,歯髄生存中は歯根形成の継続が見られた.X線写真上のdentin bridgeは58歯(91%)に,多くは術後1年以内に認められ始めた.うち12歯は歯髄炎または歯髄壊死に陥った症例であった.経過良好例のうち33歯に対しては,糊剤を除去してdentin bridge上における電気歯髄診断,抵抗値測定,糊剤の再貼布を試み,除去した糊剤を光学顕微鏡により観察した.この結果,修復物下には空隙,壊死組織などが観察された.dentin bridgeには穿孔もなく,その電気抵抗値には幅があった.dentin bridge直上での電気歯髄診断への反応値は歯冠上における値よりも小さい傾向があった.糊剤の再貼布後の異常はなかった.以上から,歯髄切断後におけるdentin bridgeの形成は必ずしも良好な予後を確約せず,糊剤を再貼布することや,術後経過を5年以上観察することが望ましいことが示唆された.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top