抄録
本学小児歯科外来を母親同伴で訪れた心身障害児37名を対象とし,田研式親子関係診断テストを用い,母親の養育態度と子供の歯科治療時に母親が治療室へ「入室する」「入室しない」という行動との関連性について分析を行い,以下の結果を得た.
1)親子関係診断テストにおいて「入室する群」,「入室しない群」ともに『消極的拒否型』『積極的拒否型』『厳格型』『溺愛型』『矛盾型』の5型が危険地帯または準危険地帯を示し,また『盲従型』『不一致型』においては「入室しない群」で準危険地帯を示していた.
2)親子関係診断テストのパーセンタイル値の比較において『厳格型』,『不安型』,『溺愛型』を除く7型で「入室する群」のほうが高い値を示し,相対的に良好な母親の養育態度を示す傾向が認められた.
3)数量化II類の分析から『盲従型』『不一致型』の2型が母親の入室行動と関連の強い要因として抽出され,「入室する群」の母親に標準地帯の養育態度を示す者が多くなっていた.