小児歯科学雑誌
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Regional Odontodysplasia の一症例
11年間に亘る口腔管理
細矢 由美子
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1995 年 33 巻 3 号 p. 624-632

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抄録

下顎左側のすべての乳歯とそのすべての後継永久歯がOdontodysplasiaであり,下顎左側第1大臼歯もOdontodysplasiaが疑われる一症例について,乳歯列期から永久歯列期までの11年間に亘る口腔管理を行った.
1)DEは,初診時より骨膜炎症状を呈していた為抜歯した.
2)Cは,D抜歯時に抜歯鉗子が歯面に接触して露髄した為,抜髄と根管充填を行い,アマルガムを充填したが,1か月後に予後不良となり抜歯した.
3)ABは,コンポジットレジン冠による歯冠修復を行ったが,Aは10か月後に膿瘍を形成した為抜歯し,Bは3年後に2の歯胚に炎症性変化がみられた為,2とともに抜歯した.
4)1は,コンポジットレジン冠による歯冠修復を行ったが,5年後にX線写真上に根端病巣が観察された.
5)6は,コンポジットレジン充填を行ったが,予後は良好で不快症状は認められない.
6)13歳9か月の現在,345は未萌出である.
7)乳歯並びに永久歯ともに抜歯部もしくは歯牙未萌出部には,床型保隙装置を装着した.
8)患児の歯列,歯槽部並びに顎,頭蓋の成長発育は正常であり,歯列については,正中の偏位も認められない.
9)1345の抜歯時期が今後の問題である.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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