小児歯科学雑誌
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フィブリン接着剤(ボルヒール®)の歯科領域への応用効果
(1)小児の上顎前歯部埋伏過剰歯抜歯への応用
土屋 友幸高橋 淳渡辺 直彦大橋 淳内田 隆徳山内 芳裕黒須 一夫
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1303-1307

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抄録
ボルヒール®は,血液凝固の最終段階で形成されるフィブリンの作用を利用して,組織の接着,閉鎖を行うものであり,フィブリノゲン,血液凝固第XIII因子,トロンビン,塩化カルシウムおよびアプロチニンの5つの成分から構成されている。
われわれは,1992年4月から1993年11月まで,本学歯学部小児歯科外来およびたけの子歯科外来において,小児患者の上顎前歯部埋伏過剰歯の抜歯5症例について,生体組織接着剤(ボルヒール®)の応用効果を調査した。
調査の対象とした小児は,5歳4か月から7歳3か月の男児4名,女児1名で,平均年齢は6歳5か月である。結果を要約すると以下のようである。
1)5症例の内,4症例(男児3症例,女児1症例)は,順生の完全埋伏過剰歯であり,歯冠形態はいずれも単錐型であった。また1症例は,完全埋伏過剰歯と萌出過剰歯であり,いずれも順生で歯冠形態は単錐型であった。
2)ボルヒールは過剰歯摘出後の口蓋粘膜剥離面にボルヒール調剤器セットを用い,スプレー式塗布法を行った
。3)抜歯後の不快症状は,全く認められなかった。
4)ボルヒールによる止血効果,創傷治癒促進効果が認められた
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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