小児歯科学雑誌
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光重合型コンポジットレジン表面上に生育する線維芽細胞数の推移
加我 正行橋本 正則辻口 鎮男高野 光彦小口 春久
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1997 年 35 巻 1 号 p. 47-52

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抄録
光重合型コンポジットレジンの細胞毒性を調べるため,ヒト歯肉由来の線維芽細胞を用いて,細胞培養にて実験を行った.光照射時間を変えて硬化した市販のボンディング材と光重合型コンポジットレジン表面に線維芽細胞を直接播種し,1日目,3日目,6日目に倒立培養顕微鏡と光学顕微鏡にて細胞の形態変化を観察した.また,光学顕微鏡によりレジン表面上に生育した細胞の一定面積あたりの細胞数を算定して,細胞毒性を定量的に評価した.その結果,培養24時間後の観察では,ボンディング材とコンポジットレジン表面への線維芽細胞の付着は対照に比べてやや少なかったが,細胞の生育は確認された.Liner-Bond II®とAP-X®においては,光照射時間が長くなると細胞の増殖が認められたが,Z100®とMulti-PurPose®では光照射時間の影響は認められなかった.それらの表面の細胞数では,対照と同様に経時的な増加は1日目から3日目,6日目までみられなかった.しかし,硬化したボンディング材とコンポジットレジン表面で細胞が生育することから,培養細胞に対する硬化後のレジンの毒性は低いことが示唆された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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