小児歯科学雑誌
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作製者の違いによるマウスガード適合状態の差異
-歯科医師と高校ラグビー選手との比較-
松永 幸裕天川 三奈田中 光郎
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1997 年 35 巻 1 号 p. 41-46

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抄録
スポーツ外傷に対する安全対策として,我々歯科医師が直接関与できるものに,顎顔面・口腔領域の防具が挙げられる.今回我々は,そのなかでも広く知られているマウスガードを作製する際,どのような点について注意が必要か,マウスフォームドタイプのものを用いて,使用感について比較・調査した.
高校ラグビー選手20名によって使用説明書通りに作製してもらったマウスガードと,同一人の石膏模型上で同じ材料を用いて歯科医師が作製したマウスガードについて,その適合度を計測し比較した.
側・口蓋側共に選手自らが作製したマウスガードよりも歯科医師が作製したマウスガードの頬方が有意差をもって適合が良いと思われる結果が得られた.しかしアンケート調査より作製したマウスガードに下顎の圧痕がないと,いかに歯科医師が適合良く作製したとしても,それだけでは満足感が得られず,むしろ使用感が悪くなる場合があるということが明らかになった.したがって適合状態に加えて,さらにマウスガードに対する要望事項としては,「呼吸のしやすさ」,「フィット感」,「脳震盪の予防」という順であった.また,「これから先マウスガードを使いたいと思いますか?」との問いには,「思う」とした者が17名に対して「思わない」とした者が0名,「わからない」とした者が1名であり,ほとんどの者が使う意志を示し,マウスガードの潜在的な需要を示唆していた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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