抄録
思春期の若者が歯科診療を受ける際に,歯科医師および歯科医療スタッフにどの程度信頼度を感じているかを調査することを目的として,思春期の若者504人のうち記載不十分なものを除いた490人を対象に,質問紙調査を実施した。アンケートはDental Belief Surveyを改良し,作成した6領域25項目の設問からなる「歯科診療に対する信頼度調査表」と,歯科診療一般についてを問う設問からなっている。結果は以下の通りである。
1.思春期における「歯科診療に対する信頼度調査表」を信頼性と妥当性の観点から検討した結果,歯科に対する信頼度を測定する尺度として有効であることが示された。
2.不信度が高い設問項目は,「待合室におけるスタッフの対応」「治療方法や料金の同意に関するインフォームド・コンセント」,不信度が高い領域は「環境・スタッフの対応」「インフォームド・コンセント」であった。
3.性別,歯科治療経験,口腔状態の自己評価,歯科不安,歯科恐怖について信頼度を検討した結果,男性,口腔状態不良群,高不安群,高恐怖群の方が女子,口腔状態良好群,低不安群,低恐怖群よりも有意に不信度が高いことが認められ,歯科治療経験の有無においては,有意差が認められなかった。