小児歯科学雑誌
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閉口時の咬合偏位が小児咀嚼筋非対称性指数に及ぼす影響
松田 成彦長谷川 信乃篠田 圭司田村 康夫
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1997 年 35 巻 4 号 p. 706-714

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抄録

本研究はクレンチング時の咀嚼筋活動の対称性を評価するための非対称性指数(Asymmetry Index,A.I.)を臨床的に応用し,機能性反対咬合を有する小児の咬合状態と咀嚼筋A.I.との関係について検討を行ったものである。被検児は本学小児歯科外来に来院し,機能性反対咬合が認められた小児17名(男子7名,女子10名,平均年齢7歳6か月)を対象とし,左右側頭筋および咬筋活動よりA.I.を算出し検討を行った結果,以下の結論を得た。
1)被検児17名全員に反対咬合部位に早期接触が認められ,早期接触部と咬合偏位側との間に一致が認められた。
2)反対咬合群は,対照群に比較し側頭筋および咬筋活動に大きい非対称が認められた。
3)側頭筋は偏位側の活動が優位になり,咬筋では反対側の活動が優位になる傾向が認められた。
4)側頭筋および咬筋活動を,それぞれ偏位側優位群と反対側優位群に分け検討した結果,いずれもA.I.と側方偏位量および偏位量との間に高い相関が認められた。以上の結果より,機能性反対咬合による咬合の偏位はクレンチング時に左右咀嚼筋活動のバランスに影響を及ぼしていることが明らかとなり,咀嚼筋活動の左右バランスを非対称性指数で検討することは有効であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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