小児歯科学雑誌
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思春期における抑うつ度と歯科的認識・行動との関連性
竹本 弘子石川 隆義長坂 信夫
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1998 年 36 巻 1 号 p. 59-64

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抄録

心身ともに小児から大人へと変化していく過渡期にあたる思春期の若者に対し,抑うつ度と歯科的認識・行動との関連性,特に歯科に対する信頼感との関連についてアンケート調査を行い検討した。対象は,広島市内の某進学塾に通う高校生490人(平均年齢16歳4か月)で,アンケートは,Self-Rating DepressionScale(SDS)の日本語版である自己評価式抑うつ尺度と,歯科的認識・行動に関する質問表,そして歯科診療に対する信頼度調査表から構成される。結果は以下の通りである。
1.SDSの平均得点は男子が43.4,女子が44.3,全体で43.9であった。また「不満足」「空虚」「憂うつ・抑うつ」は思春期の抑うつ度を特徴づけていることが認められた。
2.抑うつ度と歯科診療に対する信頼感,口腔状態の自己評価,歯科不安,歯科恐怖の問には関連性が認められたが,歯科治療経験の有無の違いによる関連性は認められなかった。
3.抑うつ度と歯科診療に対する信頼度の間には有意な相関が認められ,特に「焦燥」「精神運動性興奮」「自殺念慮」の項目に有意な相関が認められた。
4.歯科診療に対する信頼度調査表の6領域のうち,「コミュニケーション」「環境・スタッフの対応」は抑うつ度と特に有意な相関が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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