小児歯科学雑誌
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吸指癖が乳歯列咬合に及ぼす影響に関する累年的研究
米津 卓郎町田 幸雄
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1998 年 36 巻 1 号 p. 93-100

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抄録

東京都国立市における1歳6か月児,2歳児,3歳児および5歳児歯科健康診査を全て受診した小児512名の中で吸指癖の経験あるいは継続中の小児131名を調査対象とし,継続時期および中止時期が咬合状態に及ぼす影響について,なんら口腔習癖を有さない小児192名を比較対象として検討したところ,以下の結論を得た。
1.1歳6か月から5歳時まで吸指癖を有していた小児は2歳時において,開咬が50.0%,上顎前突が16.7%存在し,3歳時には開咬が40.5%,上顎前突が28.6%,5歳時には開咬が31.0%,上顎前突が16.7%存在した。
2.1歳6か月から3歳まで吸指癖を有していたが,5歳時には消失していた小児の咬合状態は,3歳時において開咬と上顎前突がおのおの24.2%存在し,正常咬合は僅か39.4%であった。しかし,5歳時には開咬と上顎前突がおのおの3.0%と顕著に減少し,正常咬合は69.7%と高率になっていた。
3.以上の結果からすると,吸指癖の治療開始時期は3歳が適当と考えられる。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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