小児歯科学雑誌
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グラスアイオノマー型コンポジットレジンGeristore®の歯髄に及ぼす影響
コンポジットレジン冠修復時
張 野柏原 陽子久保田 一見後藤 譲治
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1998 年 36 巻 4 号 p. 639-645

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抄録

小児歯科臨床では,コンポジットレジン冠修復法は広く行われており,その修復材料として,優れた歯質接着性,審美性,操作性が要求されている。近年,優れた接着性,審美性,フッ素徐放性,操作性などを有するグラスアイオノマー型コンポジットレジンGeristore®(以下本材とする)が開発され,歯冠修復材料として歯科臨床に応用されている。しかし,本材のコンポジットレジン冠修復への応用は未だ報告されていない。そこで本実験では,その有用性を判定する目的で臨床応用に先立ち,本材をコンポジットレジン冠修復へ応用した場合の歯髄反応について病理組織学的検討を行い,以下の知見を得た。
1.病理組織学的に検討した結果,重篤な病的変化の発現は少なく,充血および若干の円形細胞浸潤が認められる程度であった。それよりはむしろ支台歯形成による影響と考えられた。
2,修復性変化として補綴象牙質の形成は多くの症例に見られた。
3.経時的に病理組織学的変化の発現は減少し,また修復性変化の発現は増加する傾向が認められた。
4.病理成績を判定した結果,良好22例(95.7%),概良1例(4.3%)であった。
以上よりグラスアイオノマー型コンポジットレジンGedstore®は,コンポジットレジン冠修復において安全性が高いことが判明し,その有用性が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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