小児歯科学雑誌
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36 巻 , 4 号
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  • 宮川 尚之, 森主 宜延, 岸本 匡史, 小椋 正
    1998 年 36 巻 4 号 p. 595-603
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,上顎前突の治療に用いている噛みしめ型FKO(B-FKO)の適用・撤去の判断,および臨床的効果を明らかにすることを目的とする。対象は,B-FKOを適用した男児8名,女児13名である。検討資料は,カルテ,咬合模型,側貌頭部エックス線規格写真の角度・距離計測値である。装置適用者のうち下顎の前方劣成長が認められる症例が61.9%,下顎の劣成長が認められない症例が38.1%であり,それぞれ下顎の成長促進と咬合の挙上を目的としていた。
    装置装着年齢は平均9歳10か月,撤去年齢は平均11歳5か月であり,適切に装置を使用した者は61.9%であった。撤去の理由は,期待した効果が得られたためとしていたものが61.9%,使用状況が悪く,効果が期待できないことを理由としていたものが38.1%であった。装置適用者を適用目的で下顎の成長促進群と咬合の挙上群に分類し,顎顔面の骨格形態を正常者と比較すると,促進群では上下顎骨の前後関係により,挙上群では歯軸傾斜によって上顎前突が示されており,撤去時にそれらの項目の改善傾向が認められた。
    しかし,上顎前突の傾向は示されたままで,正常咬合者群の標準値まで達していなかった。また,撤去時の判断は単純に不正要因の解消だけなく,軟組織形態の変化に対する視覚的な判断の影響が示唆された。撤去時から撤去1年後までの変化に対する定性的評価では両群とも上下顎の前後的関係において後戻り傾向が見られた。
  • 森主 宜延, 岸本 匡史, 宮川 尚之, 小椋 正
    1998 年 36 巻 4 号 p. 604-612
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,チンキャップ適用の実態と頭蓋顔面硬組織の変化から,チンキャップ適用の妥当性について再検討することを目的とした。対象は,チンキャップ適用者51名であり検討資料は装着後6か月間隔で記録された外来カルテ,歯列模型,側貌頭部エックス線規格写真計測による。結果として,チンキャップの平均撤去年齢が11歳であり,平均使用期間は3年6か月であった。使用目的は下顎の過成長の抑制であり,撤去時の主な理由は被蓋の改善と骨格型要因に不安が解消されたことにあった。また,使用開始時下顎骨の過成長と診断された症例において,被蓋の改善による下顎の過成長の解消と考えられた症例が認められた。使用効果は,使用開始時,∠SNBが正常咬合者と比較し大きく,チンチャップ撤去時並びに撤去1年後も同じく有意に大きな値を示した。しかし,撤去時,∠SNAと∠ANBが有意に増加し改善の傾向もみられた。使用開始時から撤去1年後までの定性的変化から,使用開始時から撤去時の装置使用による計測項目の変化の方向と,撤去時から撤去1年後の計測項目の変化の方向が逆となり後戻り傾向が認められた。結論として,適用理由となる不正要因の診断に注意を要し,撤去理由との矛盾も指摘された。下顎骨成長の絶対的抑制は,形態計測値の変化と思春期開始時に撤去されていることから効果が得られたとはいいがたい。さらに,撤去時,下顎骨の成長と前歯部歯軸で後戻り傾向が認められ,チンキャップ適用への再検討の必要性が示された。
  • 石川 雅章, 竹中 史子, 桔梗 知明, 舩山 研司, 小野 博志, 鄧 輝
    1998 年 36 巻 4 号 p. 613-624
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    6歳から11歳までの中国人女児双生児85組の半縦断的側貌頭部エックス線規格写真を資料とする形態学的研究を行い,顎・顔面頭蓋形態の成長様式を最近の日本人小児と比較検討し,また遺伝的要因の多寡を推定して以下の結論を得た。
    1.平均身長曲線において,6歳では中国人女児が3cmほど高く,7歳以降日中女児の差は僅かであった。
    2.角度的計測項目において,SNA,SNBは日中女児間で大きな差はないものの,中国人女児の下顎骨後下方部の形状は,ステージ3からすでに日本人成人女性の形状に近かった。
    3.量的計測項目において,中国人女児は上顔面部と下顔面部の奥行きの差が日本人女児よりも少なく,相対的に下顎骨が大きい顔立ちであった。
    4.プロフィログラムの重ね合わせから,中国人女児は日本人女児よりも顔面前方部で凹凸がより少なく,前方部全体がより直立した形状である印象を受けた。
    5。前脳頭蓋底と鼻腔底平面の深さの遺伝力はステージ4で低下するものの60~70%台であり,下顎骨の高さや外形の遺伝力はステージ5が最も高く,70~80%台であった。
    6.以上から,日中女児の混合歯列期における顎・顔面頭蓋形態の主な相違は下顎骨後下方部の外形と大きさにあり,それらには遺伝的要因が強く関与していると推定された。
  • 岩崎 浩, 中山 聡, 内山 盛嗣, 近藤 靖子, 宮沢 裕夫, 石 四箴
    1998 年 36 巻 4 号 p. 625-633
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    中国人小児の乳歯歯冠幅径,歯列弓幅径および咬合状態を把握することを目的に上海市小児の3歳より6歳の正常乳歯列模型43例を資料とし,歯列形態について計測観察を行い,日本人小児正常咬合児の値との比較検討を行い,以下の結論を得た。
    1.歯冠近遠心幅径における日本人小児との差はないものと考えられた。
    2.日本人小児に比較して歯列弓長径が短い傾向を示した。
    3.歯間空隙状態の型別発現頻度に関しては日本人小児との差はないと考えられた。
    4.日本人小児に比較してターミナルプレーンの近心型,乳犬歯咬合関係では皿型の発現が高率に認められた。
  • 福原 大子, 奥 猛志, 横山 幸三, 重田 浩樹, 小椋 正
    1998 年 36 巻 4 号 p. 634-638
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    SUPER LIZER®は近赤外線を用いた理学療法のひとつであり,顎関節症の保存療法としてその有効性が報告されている。本研究の目的は,SUPER LIZERを顎関節症の治療方法として確立する上で,その適応症を選択することである。
    研究対象は顎関節症の治療法としてSUPER LIZER療法を行った患者14名であった。これらの患者を,SUPER LIZERが有効であった7名(有効群)と,効果を奏さなかった7名(難治群)とに分け,治療前の顎関節部MR所見および臨床所見を比較検討し,以下のような結果を得た。
    1.関節円板の前方転位は,両群間で有意差を認めなかった。しかしjoint effusionは,難治群で有意に多かった。
    2.有効群は難治群と比較して,初診時の最大開口量は有意に大きく,疼痛発現からの期間も短い傾向が認められた。
  • 張 野, 柏原 陽子, 久保田 一見, 後藤 譲治
    1998 年 36 巻 4 号 p. 639-645
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床では,コンポジットレジン冠修復法は広く行われており,その修復材料として,優れた歯質接着性,審美性,操作性が要求されている。近年,優れた接着性,審美性,フッ素徐放性,操作性などを有するグラスアイオノマー型コンポジットレジンGeristore®(以下本材とする)が開発され,歯冠修復材料として歯科臨床に応用されている。しかし,本材のコンポジットレジン冠修復への応用は未だ報告されていない。そこで本実験では,その有用性を判定する目的で臨床応用に先立ち,本材をコンポジットレジン冠修復へ応用した場合の歯髄反応について病理組織学的検討を行い,以下の知見を得た。
    1.病理組織学的に検討した結果,重篤な病的変化の発現は少なく,充血および若干の円形細胞浸潤が認められる程度であった。それよりはむしろ支台歯形成による影響と考えられた。
    2,修復性変化として補綴象牙質の形成は多くの症例に見られた。
    3.経時的に病理組織学的変化の発現は減少し,また修復性変化の発現は増加する傾向が認められた。
    4.病理成績を判定した結果,良好22例(95.7%),概良1例(4.3%)であった。
    以上よりグラスアイオノマー型コンポジットレジンGedstore®は,コンポジットレジン冠修復において安全性が高いことが判明し,その有用性が認められた。
  • 長谷川 智一, 柏原 陽子, 菊入 崇, 吉村 善隆, 白川 哲夫, 加我 正行, 小口 春久
    1998 年 36 巻 4 号 p. 646-651
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成牛永久歯より調製した象牙質切片を使用し,象牙細管を介した細胞毒性試験を行った。また試験細胞にはヒト乳歯および永久歯から分離した歯髄由来線維芽細胞様細胞を使用した。
    本研究においては,歯冠修復材料のひとつであるコンポジットレジンを使用し,結果が既報の細胞毒性試験と一致することを示した。本研究よりコンポジットレジンの含有モノマーは象牙細管を通過して,歯髄組織に毒性を発現することが示された。毒性発現の際にIL-1β の産生は認められず,アポトーシスも生じていなかった。さらにこの毒性感受性は,乳歯および永久歯歯髄細胞間で有意差が認められなかった。
    この細胞毒性試験は,簡便でしかも費用も安価であり,さらに従来の評価項目であった生細胞数の測定以外に,多数の分子・遺伝子レベルでの解析が可能であることが示唆された。さらに乳歯および永久歯の歯髄の反応性も比較・検討が可能であり,非常に有用であると思われた。
    今後の,新たな歯科修復材料の細胞毒性試験に,本研究のシステムは極めて利用価値が高いと考えられた。
  • 宮田 秀昭, 大塚 由美子, 佐野 富子, 田中 裕子, 田邊 義浩, 田口 洋, 野田 忠
    1998 年 36 巻 4 号 p. 652-659
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回著者らは新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した患者の開院以来17年間の変遷を知る目的で1980年,1988年,1996年の初診患者について診療録,問診表などによる調査を行い,以下の結論を得た。
    1)初診患者は年を追うごとに減少し,減少傾向は新潟県出生数の変化と近似していた。
    2)来院理由に占める齲蝕の割合は年を追うごとに減少し,咬合の異常,歯の異常の占める割合が増加していた。齲蝕を主訴として受診した患者の齲蝕も軽症化していた。
    3)紹介もと機関に占める学外の割合は年を追うごとに増加し,1996年では1980年の2倍以上となっていた。
    4)乳歯処置歯数はIC期,IIA期で,年を追うごとに減少していたが,IIC期,IIIA期では1996年で再び増加する傾向が認められた。永久歯処置歯数はIIIA期,IIIB期共に年を追うごとに減少していた。
    5)乳歯の修復処置ではレジン充填の割合が増加し,乳歯用既製冠とレジンジャケット冠の割合が減少していた。永久歯ではシーラント,レジン充填の割合が増加していた。
    6)6年以上定期診査を受診した患者の割合を1980年と1988年で比較すると,全ての年齢層で1988年の初診患者の受診率が増加していた。
  • 柏原 陽子, 福本 敏, 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1998 年 36 巻 4 号 p. 660-669
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    象牙質の透過性は,歯髄に対する様々な刺激の伝達を左右するものとして極めて重要な因子であると考えられている。また,象牙細管内液の浸出は,象牙質に対するレジン系材料の接着機構に不利に作用すると考えられている。そこで我々は,開口した象牙細管を一層被覆し,象牙細管内液の浸出を抑制することを目的に,生体親和性材料であるコラーゲンの象牙質への応用について検討してきた。今回は基礎実験として,牛永久歯歯冠部唇面象牙質を用い,コラーゲン溶液処理による象牙質表面微細構造の変化,および歯髄内圧想定下におけるコラーゲン溶液処理の象牙質透過性に及ぼす影響について評価を行った。
    その結果,以下の所見が得られた。
    1.リン酸処理により象牙細管を開口させた象牙質表面にコラーゲン混合溶液を37℃ で1分間応用させた試料についてSEM観察を行った。その結果,象牙質表層は細管開口部を含め,ほぼ全面的に一層の膜様構造物によって被われていたが,一部には被覆状態の不完全な部分も観察された。
    2.歯髄内圧想定下に象牙質透過性の評価を行った結果,リン酸処理後コラーゲン溶液処理を行った象牙質試料は,リン酸処理のみ行った試料と比較して象牙質透過性が有意に抑制されていた。(p<0.01)
    本研究の結果,生体親和性材料であるコラーゲンの応用による象牙細管内液の浸出抑制の可能性が示唆された。
  • 原 麻子, 関口 浩, 町田 幸雄, 藥師寺 仁
    1998 年 36 巻 4 号 p. 670-676
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    咬耗の殆ど認められない3歳0か月から3歳1か月未満の小児の正常乳歯列模型を使用し,上顎第一乳臼歯および第二乳臼歯の頬側溝展開角について計測した結果,以下の結論を得た。
    1)頬側溝展開角の平均値は,中央小窩寄り1/3では,上顎第一乳臼歯で128.40°,上顎第二乳臼歯で107.43°であった。頬側縁寄り1/3では,上顎第一乳臼歯で137.44°,上顎第二乳臼歯で107.15° であった。
    2)第一乳臼歯は第二乳臼歯に比べ,頬側溝展開角は大きく,また,中央小窩から頬側縁に向かうに従い,大きくなる傾向が認められた。
    3)上顎乳臼歯における窩洞形成時の頬側溝追求の有無を調査したところ,第一乳臼歯では,頬側溝を追求した症例は32%,頬側溝が存在していたにもかかわらず,追求されていなかった症例は68%であった。一方,第二乳臼歯では全ての症例において頬側溝が追求されていた。
  • 岡崎 好秀, 東 知宏, 田中 浩二, 石黒 延枝, 大田原 香織, 久米 美佳, 宮城 淳, 壺内 智郎, 下野 勉
    1998 年 36 巻 4 号 p. 677-683
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    655名の小児を対象として,3歳時と小学校1年生時から中学1年生時までの,齲蝕指数の推移について経年的に調査した。
    1)3歳時の齲蝕罹患者率は65.6%,1人平均df歯数は3.80歯であった。
    2)中学1年生時の齲蝕罹患者率は93.4%,1人平均DF歯数は4.78歯であった。
    3)3歳時のdf歯数は,小学校1年生から中学校1年生までのDF歯数と高度の相関が認められた(p<0.001)。
    4)3歳時のdf歯数が0歯群と9歯以上群の小学校1年生から中学校1年生までの永久歯齲蝕罹患者率には,有意の差が認められた(p<0.001)。
    5)3歳時のdf歯数が多い群ほど,永久歯のDF歯数も高い値を示した(p<0.05)。3歳時の齲蝕は,将来の齲蝕に影響を与えることから,乳幼児期からの齲蝕予防の重要性が示唆された。
  • 河合 利方, 福田 理, 中野 崇, 磯貝 美佳, 中田 和彦, 中村 洋, 土屋 友幸
    1998 年 36 巻 4 号 p. 684-691
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    外傷により脱落した歯を再植し,その予後を良好なものとするためには,その歯根膜の活性の維持が重要な要因の一つであると考えられている。本研究では,歯根膜の活性の維持をするための保存液としてソフトコンタクトレンズ保存液に注目し,その溶液の歯根膜細胞への影響をヒト歯根膜由来線維芽細胞を用い,それまで脱落歯の保存液として有効性が報告されている牛乳と生理食塩水を比較対照とし,短時間低温保存条件下で細胞数,細胞形態の観察から検討を加え,次の結果を得た。
    1.細胞数の測定
    3種類のソフトコンタクトレンズ保存液ともに,牛乳のような高い細胞数は示さず,溶液間にも差が認められた。しかし,経日的に細胞数の増加が認められ,作用7日後には牛乳の作用直後より高い細胞数を示した。
    2.細胞形態の観察
    牛乳においては,まったく異常所見は認められなかった。3種類のソフトコンタクトレンズ保存液では,生理食塩水と同様な所見を示した。すなわち,作用直後に原形質突起の縮小・球状化・剥離が認めらるものの,作用7日後には回復傾向を示し異常な所見は認められなくなっていた。
    以上のことからソフトコンタクトレンズ保存液は,脱落歯保存液の第一選択とされている牛乳よりも劣るものの,緊急時の一時保存溶液として短時間低温条件下での有用性を示唆したものと考える。
  • 児島 由佳, 村山 高章, 岩坪 れい子
    1998 年 36 巻 4 号 p. 692-695
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    濾胞性歯嚢胞は,顎骨嚢胞の中でも比較的良く遭遇するが,年齢的に若年者に好発し,発生部位については,下顎智歯部,上顎前歯部,下顎小臼歯部の順に多く,上顎洞内に発生することは稀である。今回,われわれは,小児の上顎洞内に巨大な濾胞性歯嚢胞を認めた症例を経験したので報告する。
    患者は13歳の女児。歯科治療目的で通院中の近隣歯科医にて,上顎左側第二大臼歯の抜髄処置を受けたところ,生活歯であったにもかかわらず,抜髄後の根管からの排膿を認めた。同歯科医にて根管内洗浄を続け,一時的に症状軽快していたが,抜髄処置より約二か月後,左側頬部腫脹,開口障害が出現したため,当科に紹介され来院した。歯性上顎洞炎の臨床診断にて,原因歯と思われる上顎左側第二大臼歯を抜歯したが,抜歯窩の治癒が不良で,同部の上顎洞口腔瘻孔が消失しなかった。そこで,二か月後に,瘻孔閉鎖術,上顎洞根治術,およびパノラマエックス線写真で確認していた上顎左側埋伏智歯の抜歯術を目的として,全身麻酔下に手術を施行したところ,左側上顎洞内に智歯由来の上顎洞を充満するほどの巨大な濾胞性歯嚢胞を確認したので,これを摘出した。
  • 甲原 玄秋, 佐藤 研一
    1998 年 36 巻 4 号 p. 696-701
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    千葉県こども病院集中治療室で加療中であった3名の意識障害患児における下唇と舌にみられた自己咬傷の治療を行った。
    第1症例は15歳の男児で糖尿病性ケトアシドーシスから昏睡状態になり,反射的にまた不随意運動により下唇を噛んだことから潰瘍を形成していた。即時重合レジンを用い上顎臼歯咬合面で咬合を挙上し,口蓋を覆うスプリントを作製した。作業用模型から装置をとり易くするためリリーフワックスを使用し,装着時に粘膜組織調整材(ハイドロキャスト®)でそのスペースを満たした。装置の前方には小孔をあけ細い鋼線をつけ,誤嚥防止のためそれを口腔外に出した。スプリントは患児の口腔の不随意な筋活動が消失するまで37日間使用した。
    第2症例は6歳の水頭症の女児で重度の肺炎に罹患し,経鼻挿管下で治療を受けていた。患児の舌は浮腫のため腫脹し,潰瘍を認めた。バイトブロック様の可撤性装置をレジンで作製し,歯列の片側に装着することで前歯部の開口を得た。6日後には潰瘍は治癒し,浮腫も消失していたため装置を除去した。
    第3症例は心嚢切開術を受けた5歳の男児で,舌に浮腫と潰瘍を認めた。この症例でもバイトブロック様の装置を使った。19日後,傷が治癒したため装置を除去した。
    意識障害患児の舌,口唇に自傷行動による傷ができた際,その状態を把握し適切な装置を作製,装着することで歯を保存し,咬傷を治癒に導くことができる。
  • 望月 清志, 大多和 由美, 町田 幸雄, 藥師寺 仁
    1998 年 36 巻 4 号 p. 702-714
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    平成元年4月から平成7年6月までの6年2か月間に,東京歯科大学水道橋病院小児歯科に新規来院した6歳以上の小児1,050名の中から永久歯の萌出遅延を主訴に来院し,その後萌出遅延に対する処置を行った症例を調査対象とし,その処置法について調査を行った。
    1.処置歯95歯中,萌出誘導の成功したものは92歯であった。
    2.粘膜開窓のみの症例は92例中33例(35.9%)と最も多く,次いで骨開窓+牽引の症例が30例(32.6%),粘膜開窓+牽引の症例が18例(19.6%)の順であった。また,上顎中切歯の2例,上顎犬歯の1例に抜歯が行われていた。
    3.原因が強靭な歯齦の被覆であれば粘膜開窓のみで萌出遅延歯の萌出力を期待することができるが,その他の原因では開窓後に牽引を行う必要が多かった。
    臨床において当該歯牙の自然の萌出力を期待できない症例に対しては積極的に開窓や牽引等の萌出促進誘導処置を行う必要があるものと思われた。
  • 西原 有美, 小村 隆志, 武内 健二郎, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1998 年 36 巻 4 号 p. 715-722
    発行日: 1998/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    食事中に舌や頬粘膜を誤ってよく咬むことを主訴として4歳2か月の男児が来院した。診査すると,正貌が左右非対称で,下顎が左側に偏位し,下顎左側第一乳臼歯から右側乳側切歯までが反対咬合を呈していた。問診すると,左側での咀嚼癖と右側でのうつぶせ寝が認められた。側貌頭部エックス線規格写真分析では潜在的な骨格性のClass IIIを,また正貌頭部エックス線規格写真分析では上顎骨が下顎骨に比較して小さく,骨格性交叉咬合とともに骨格的な左右非対称を認めた。この症例に対して睡眠姿勢習癖の是正を指導するとともに,弾線を用いたリンガルアーチにより被蓋改善を行ったところ,交叉咬合は矯正され,顔面非対称も是正された。
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