小児歯科学雑誌
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咬翼法エックス線写真を用いた骨梁パターンの発育変化
巣瀬 賢一時安 喜彦Rosalia Contreras Bulnes佐藤 直芳山田 英彦奥村 泰彦渡部 茂
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1999 年 37 巻 1 号 p. 147-152

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抄録
小児歯科における定期検診は必要不可欠なものであり,処置歯の予後観察や齲蝕の早期発見のためエックス線写真診査は多用されている。
今回,明海大学(以下本学と略す)小児歯科外来で約10年間継続して6か月ごとの定期検診を受診した男児2名,女児2名計4名の歯槽骨計測の可能な左側咬翼法エックス線写真,計46枚を利用し,コンピュータを用い画像解析を行い,第二乳臼歯と第一大臼歯間の歯槽骨骨梁の成長発育による変化を検討した。
1)6歳児の骨梁パターンを100%とした場合の9歳までにおける相関値は約40%まで減少し,歯槽骨骨梁は大きく変化していることが示された。
2)骨梁パターンの10歳以降相関値は上昇し,14歳頃で約90%となり,それ以降この部位での骨梁変化が少なくなることが示された。
3)空間周波数特性の測定結果では,強度傾向が6-9歳頃まで比較的低い領域にみられ,この期間の大きな骨梁変化は,骨髄腔の空間部分の拡大に起因することが示唆された。
4)空間周波数特性の強度傾向は加齢的に高い周波数領域へ移行しており,基質部分の成長に伴い空間部分が減少していると考えられた。
5)この一連の過程と骨梁パターンの変化より骨梁の発育変化には乳歯から永久歯への交換という生理的な変化と力学的因子の関連性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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