2023 年 15 巻 2 号 p. 104-110
本邦では,急速な社会の高齢化への対策として,「かかりつけ薬剤師」制度が設けられた.しかし,その利用に際し,患者の負担金が増えることもあって,薬剤師は必ずしも積極的に患者に勧められていない.そこで今回,若手薬剤師を対象として,「かかりつけ薬剤師」が提供できるケアと,そのケアを必要としている患者をいかにして見出してサービスを提供するのかについて学ぶ教育プログラムを開発し,その効果を検証することにした.COVID-19拡大を受け,完全なWebプログラムとし,動画を視聴後に課題を提出することを3回繰り返した.教育効果は,薬剤師の意識の変化により検証した.受講後には,「同意の求め方がわからない」「負担を説明する方法がわからない」といった,ケアを提供する前の心理的な障害に関するスコアが軽減していた.プログラムは,かかりつけ薬剤師としてケアを提供できるようにする教育として,一定の効果があることが示唆された.