小児歯科学雑誌
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本学歯学部附属病院小児歯科外来における永久歯外傷の実態および予後調査
長谷川 あずさ三浦 真理小島 寛佐々木 恵小口 春久
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1999 年 37 巻 1 号 p. 49-54

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抄録

昭和62年12月から平成6年8月までの間に本学歯学部附属病院小児歯科外来に来院した患児のうち,永久歯に外傷を受けた5歳0か月から14歳7か月までの94名,のべ100症例,175歯について実態調査を行い,以下の結果を得た。受傷者数は男児67名,女児33名であった。
受傷時年齢は7歳から10歳が全体の80%を占め,8歳が最も多かった。また,受傷歯数は最低1歯から最高6歯にわたり,1歯受傷が48例,2歯受傷が40例であった。歯種別では,上顎中切歯の受傷が最も多く全体の74%を占め,次いで上顎側切歯(11%),下顎中切歯(10%)の順であった。
脱臼性外傷のうち,歯冠破折や重度齲蝕の併発による歯髄感染などを除き,さらに最低6か月以上の予後調査が可能であったものについて歯髄の予後を調べた結果,脱臼性外傷後の歯髄壊死の頻度は43歯中3歯(7%)であった。
固定処置を必要とした46歯のうち歯根吸収が認められたものは5歯であった。そのうち3歯は完全脱臼症例,1歯は挺出症例であり,残りの1歯は歯根破折症例で根尖側破折片が吸収されたものであった。
固定除去時の動揺度について検討したところ,動揺がなくなるまで固定を行っても歯根吸収がみられた症例がある一方で,固定除去時にある程度の動揺が残っていても予後観察中に歯根吸収が認められなかったものも12歯あった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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