小児歯科学雑誌
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ラット臼歯エナメル器におけるインターロイキン-6およびインターロイキン-10レセプターの免疫組織化学的局在
棚瀬 精三尾辻 渉谷川 良謙近藤 俊安井 清子原田 洋龍崎 健栄田村 康夫
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1999 年 37 巻 3 号 p. 466-474

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抄録
サイトカインレセプターからの細胞内シグナル伝達物質であるJak(janus kinase;ヤヌスキナーゼ)とSTAT(signal transducer and activator of transcdption)ファミリーのラットエナメル器における免疫組織化学的局在から,著者らは数多くのサイトカインレセプターとその細胞内シグナル伝達が,初期エナメル質および象牙質の形成を誘導することを示唆してきた。そして,それらの観察結果からIL-6(インターロイキン-6)レセプターとIL-10(インターロイキン-10)レセプターが初期エナメル質・象牙質形成のエナメル器に局在し,歯形成における機能に関わるという仮説を立てた。本実験では,IL-6レセプターはIL-6レセプターαとgp130から構成されているため,それぞれの抗体と,IL-10レセプター抗体を用いて,免疫組織化学法(ABC法)により,5日齢ラットの第一臼歯における局在を観察し,以下の結論を得た。
1)IL-6レセプターαとgp130は内エナメル上皮(未分化エナメル芽細胞),分化期・分泌期エナメル芽細胞の近心端,中間層細胞,分化中象牙芽細胞,象牙芽細胞と骨周囲部に局在が見られた。
2)IL-10レセプターは,内エナメル上皮(未分化エナメル芽細胞),分化期・分泌期エナメル芽細胞の近心端,中間層細胞,分化中象牙芽細胞,象牙芽細胞と骨周囲部に局在が見られた。
3)これらの所見から,IL-6レセプターとIL-10レセプターとそれらの細胞内へ伝達するシグナルは,エナメル器の特異的な細胞に局在し,初期エナメル質および象牙質形成を誘導することが考えられた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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