小児歯科学雑誌
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下顎第二乳臼歯の早期喪失時に応用したM型ループの臨床的評価
河野 美砂子野田 忠
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1999 年 37 巻 3 号 p. 595-604

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抄録

下顎第一大臼歯萌出以前における第二乳臼歯の早期喪失時の保隙装置としてM型ループを用い,第一大臼歯の萌出までの観察を行い,次の結果を得た。
1.予後が確認できた40症例のうち,第一大臼歯がM型ループに沿って萌出したもの34症例,M型ループより近心に萌出したもの6症例であった。
2.第一大臼歯がM型ループに沿って萌出した症例のうち,抜歯前の第二乳臼歯遠心端が計測可能な研究用模型により萌出した第一大臼歯の近心端との位置を比較したところ,第一大臼歯は抜歯前の第二乳臼歯遠心端より平均1.41mm近心に位置していた。
3.オブリークセファログラムを用いてM型ループの設定位置を確認したところ,ループの最下点は反対側第二乳臼歯遠心歯頸部の陥凹最下点付近に近似した位置に設定されていた。
4.第二乳臼歯の早期喪失時の第一大臼歯の萌出以前における位置的変化は一様に近心移動するものばかりではなく様々で,その近心への移動量と観察期間には一定の関係はうかがえなかった。
5.第一大臼歯がM型ループより近心に萌出したのは,M型ループの設定が不適切であったためと思われた。
以上より,M型ループは,ループの設定を慎重に行い経過観察を確実に行えば,第二乳臼歯の早期喪失時の保隙装置として適用し得ると思われる。

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