小児歯科学雑誌
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幼児期から中学生期におけるカリオスタツト®検査の結果と齲蝕罹患状態との関係
田中 浩二岡崎 好秀東 知宏久米 美佳壺内 智郎松村 誠土下野 勉
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1999 年 37 巻 3 号 p. 605-610

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抄録
齲蝕活動性試験カリオスタット®は,歯科臨床の場のみならず,地域歯科保健活動,学校歯科保健活動等において,あらゆる年齢の小児を対象として利用されている。カリオスタット検査を有効に利用するうえで,各年齢時におけるカリオスタット値と齲蝕罹患状態との関係を調査することは重要であると考えられる。そこで今回,1歳児から15歳児までの各年齢時における,カリオスタット値と齲蝕罹患状態との関係について分析・検討を行い,以下の結論を得た。
1)幼児期から中学生期におけるカリオスタット検査の値は,各齲蝕歯数(df,df+DF,DF)と正の相関関係を認めた(1歳,9歳を除く)。
2)カリオスタット検査の値を15以下,2.0以上の2群に分け一人平均齲蝕歯数を比較すると,2.0以上群の平均齲蝕歯数が有意に多かった(1歳,2歳,9歳,10歳を除く)。
以上より,カリオスタット値は幼児期から児童・生徒期において齲蝕現症を反映しており,またカリオスタット値の15以下,2.0以上という群分けにより,効率的に齲蝕のスクリーニングが行えることが示された。しかしながら,低年齢児では齲蝕罹患が少ない影響を受け,また,側方歯群交換期の一時期においては齲蝕罹患乳臼歯の交換の影響を受け,齲蝕罹患状態とカリオスタット値との一定の関係が得られないことも同時に示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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