小児歯科学雑誌
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CarisolvTMが乳歯象牙質に及ぼす影響
第1報齲蝕除去効果と齲蝕下象牙質の硬さに及ぼす影響
細矢 由美子後藤 讓治
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1999 年 37 巻 4 号 p. 677-684

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抄録

chemo-mechanicalな齲蝕除去法に使用されるCarisolv TM(Medi-Team)の乳歯に対する齲蝕除去効果と齲蝕下象牙質の硬さに及ぼす影響を観察することを目的に研究を行った。
6歳2か月-9歳10か月(平均年齢7歳8か月)の患児6名の齲蝕症第2度の乳歯11歯に対し,Carisolv TMを用いて軟化象牙質を除去し,臨床観察を行った。さらに,齲蝕症第2度の抜去乳犬歯5歯を齲蝕中央部で半切し,1側をCarisolv TMと専用ハンドインスツルメントを用いて(Carisolv群),他側はラウンドバーで(バー群)軟化象牙質を除去し,齲蝕下象牙質のヌープ硬さを測定した。得られた結果は以下のとおりである。(臨床観察):
1)Carisolv TMを用いて軟化象牙質除去中に痛みを訴えた症例は皆無であった。
2)11歯中9歯に対して電気エンジン,タービンが併用され,5歯に対して局所麻酔が併用された。
3)11歯中7歯に軽度の歯肉の発赤と腫脹が認められた。
4)11歯中7歯は,Carisolv TMのみでは軟化象牙質を十分に除去できなかった。(硬さ試験):
1)齲窩中央部における齲蝕下象牙質のヌープ硬さを窩底から50μm間隔に300μm下方の部位まで深さ別に比較した結果,いずれの深さについてもCarisolv群とバー群問に有意差は認められなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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