小児歯科学雑誌
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乳臼歯の低位および晩期残存を伴った1例
今野 喜美子大須賀 直人長谷川 博雅岩崎 浩宮沢 裕夫
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1999 年 37 巻 4 号 p. 844-851

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抄録

低位乳歯の発生頻度は1-10%程度とされ,小児歯科臨床では希に遭遇することがある。著者らは,14歳2か月男児の同一個体内の上下顎6歯にみられた低位乳歯を経験したのでその概要を報告する。
1.問診により,母親の妊娠中に異常や疾患,外傷などの既往は認められなかった。
2,咬合状態は臼歯部でAngleII級2類を示し,前歯部では著しい過蓋咬合を呈し,小臼歯部では開咬状態を示した。
3,デンタルエックス線写真により,下顎の右側第一,第二乳臼歯,左側第二乳臼歯および上顎の右側第二乳臼歯は歯冠の大部分が歯槽骨から萌出しているものの,上顎の左右の第一乳臼歯はさらに低位な状態を示し,いずれも歯根の吸収が認められた。下顎の小臼歯では位置異常が認められた。
4.側貌頭部エックス線規格写真分析ではANBが2.6° でSkeletal1を示し,下顎がCounter clockwise rotationしており,Low Angleを示した。
5.病理組織学的所見では,残存歯冠の吸収窩に連続して骨組織が増生し,骨性癒着状態にあった所見が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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