小児歯科学雑誌
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上顎前突と鋏状咬合の可撤装置による治療-症例報告-
永井 華子星 仁史井出 正道大森 郁朗
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1999 年 37 巻 4 号 p. 852-863

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抄録
咬唇癖を伴う異常嚥下癖を原因とする上顎前突が認められ,その咬合治療中に鋏状咬合を生じた小児の咬合管理を,可撤装置を用いて8歳8か月から永久歯咬合に至るまで行ったのでその経過についての報告である。
9歳0か月時に,習癖除去と上顎前突の改善を目的としてバイトプレートを装着し,10歳6か月時に上顎前突は改善した。しかし,上顎歯列弓幅が大きいことを主因とする右側小臼歯部の鋏状咬合が生じたため,エキスパンジョンスクリューを逆用した上顎歯列弓幅縮小装置を考案して,10歳11か月時に装着した。本装置の5か月間の使用により,鋏状咬合は改善した。その後,10か月間保定装置を装着した。これらの可撤装置への患児の受け入れも非常に良好であり,機能的および審美的に満足できる永久歯列が得られた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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