小児歯科学雑誌
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中国人のエナメル質表層フッ素濃度と生活環境因子との関連
-抜去下顎中切歯の分析とアンケート調査-
八幡 祥子広瀬 弥奈丹下 貴司高 承志五十嵐 清治
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2000 年 38 巻 3 号 p. 595-604

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抄録
中国人(北京)の抜去下顎中切歯(唇・舌側面2部位)を対象に,エナメル質表層フッ素濃度を測定した。また,日本人(札幌)と比較し,さらに生活環境因子との関連をアンケート調査し,以下の結論を得た。
1.中国人(北京)の抜去歯エナメル質表層フッ素濃度は,フッ素の濃度勾配が認められた。
2.唇側面と舌側面における部位の差は,統計学的有意差が認められなかったが,すべての深さにおいて唇側面より舌側面のフッ素濃度が高かった。
3.唇側面では,深さ1-20μmにおいて(1,3,5,10μm:p<0.01,20μm:p<0.05),また舌側面では,1μm(p<0.01)において有意差が認められ,札幌よりも北京の方がフッ素濃度が高かった。
4.お茶等の摂取状況については,'毎日飲む'と答えた人が北京27.88%,札幌91.55%と有意に札幌の方が多かった(p<0.001)。
5.北京の水道水中フッ素濃度は,札幌より約15倍高いことに加えて,'水道水をよく飲む'と答えた人数も札幌より北京の方が多かった(北京:78.85%,札幌:21.13%,p<0.001)。
6.北京と札幌における歯磨き習慣とその状況については,'毎日磨く'と答えた人が北京99.04%,札幌97.18%と有意差は認められなかった。
7.フッ化物歯面塗布の有無およびフッ化物配合歯磨剤の使用状況については,北京と札幌では有意差が認められなかった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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