小児歯科学雑誌
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出力可変型キセノン照射器の光重合型レジンの物理的性質に及ぼす影響
釜崎 陽子福本 敏久保田 一見吉田 至純斎藤 幹福本 恵美子後藤 讓治
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2001 年 39 巻 1 号 p. 146-158

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抄録
従来のハロゲン光照射器に比較し,レジンの重合に要する時間を飛躍的に短縮できるとされるキセノン光照射器について基礎的研究を行った.
1.牛歯象牙質に対してLiner Bond 2®システムとClearfil AP-X®とを用いて剪断接着試験を行った結果,最も高い接着強さを示していたのは,シェードA2のレジンに対してキセノン光照射器で5秒間照射した群であった.同じくキセノン光照射器を用いてもシェードがA4であった場合,接着強さは半分以下にまで低下した.ハロゲン光照射器の場合,シェードがA2またはA4のどちらの場合も安定した接着強さを示していた.
2.照射条件を変えて重合させたレジン硬化体のヌープ硬さを測定した結果,シェードがA2の場合は,キセノン光5秒照射によってハロゲン光40秒照射と同程度の硬さが得られ,キセノン光を10秒照射することによってヌープ硬さは有意に高くなった(P<0.01).シェードA4の場合,キセノン光5秒照射ではハロゲン光40秒照射に比較しヌープ硬さが有意に低く(p<0 .01),10秒照射することによってハロゲン光40秒照射と同程度の硬さが得られた.
3.抜去ヒト小臼歯に象牙質内1mmの深さで形成された窩洞に対する色素浸透性試験の結果,辺縁封鎖性および窩壁適合性が最も良好な結果を示していたのは,ハロゲン光40秒照射群であった.キセノン光による5秒間の一括照射を行った群ではコントラクションギャップの発生頻度が高く,その幅も大きかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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