抄録
幼児期まで吸指癖がみられ,咬唇癖を伴う異常嚥下癖を原因とする歯列弓の狭窄を伴った上顎前突が認められた小児の咬合管理を,バイトプレートを用いて永久歯咬合に至るまで行ったので,その治療経過を報告する.
バイトプレートによる習癖除去と上顎前突を改善するとともに,上顎歯列弓幅の側方拡大も同時に行う目的でバイトプレートに側方拡大ネジを付属させた.本装置を9歳7か月から2年6か月間使用することにより,歯列弓の狭窄を伴う上顎前突は改善した.その後,1年10か月間保定装置を装着した.この間,口腔習癖の再発もなく,機能的および審美的に満足できる永久歯咬合が得られた.