小児歯科学雑誌
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ヒト永久歯象牙質ハイドロキシアパタイトの結晶性とCa/P比の関係
鈴木 百合子大野 弘機五十嵐 清治遠藤 一彦川島 功
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2001 年 39 巻 1 号 p. 42-49

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抄録

歯の主要構成成分であるハイドロキシアパタイトの結晶性は,歯質の耐酸性に関与する一因子である.結晶性の低下により,耐酸性,抗齲蝕性は低下し,齲蝕に罹患しやすくなる.しかし,ヒト歯質のCa/P比と結晶性の関係について詳細に検討した研究は報告されていない.そこで,本研究では,ヒト永久歯象牙質について,Caを原子吸光法で,Pを比色定量法で測定し,Ca/P比を算出した.さらに,Ca/P比を算出した切片に近接した象牙質切片についてエックス線回折法によって結晶性を評価し,Ca/P比と結晶性の相関関係を検討した.得られた結果は次の通りである.
1.被験歯18歯から得た象牙質切片324個を用いてCa/P比を算出したところ,象牙質の部位によってCa/P比が異なっていた.
2.Ca/P比のヒストグラムを作製したところ根未完成歯と根完成歯の間には分布傾向の差は認められなかった.
3.各部の象牙質切片を微小領域エックス線回折法によって分析した結果,部位によってハイドロキシアパタイトによる回折線強度は異なっていた.
4.Ca/P比とエックス線回折法で得られた結晶性との相関を調べた結果,正の相関が認められた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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