抄録
小児期の齲蝕罹患経験や不正咬合が経年的に咬合機能の発達にどのように影響するかを知ることは,将来の健全な発育を促す上でも重要となる.本研究では,咬合機能の発達に与える影響を縦断的に調査するため,小児64名を対象に,デンタルプレスケール®を用いた3年間め経年資料より,咬合接触面積,咬合力および平均咬合圧力を測定した.また,資料は齲蝕罹患状況別,咬合状態別,齲蝕罹患状況・咬合状態別に分類し,各計測項目ごとに経年的推移および各年度ごとに群間を比較検討し,以下の結論を得た.
1.咬合接触面積,咬合力の経年的推移は,正常咬合CF群(Caries Free),CF・CF・CF群,正常咬合群の増齢的な増加に比較し,不正咬合df群(decayed.filled),df・df・df群,反対咬合群,開咬群の増加は少なかった.平均咬合圧力では,CF・CF・df群の3年度が他の年度に比較し高い値を示した.
2.各年度の咬合接触面積,咬合力では,正常咬合CF群,CF・CF・CF群,正常咬合群,過蓋咬合群が高い値を,不正咬合df群,df・df・df群,反対咬合群,開咬群が低い値を示した.平均咬合圧力では不正咬合df群,3年度のCF・CF・df群,反対咬合群,開咬群が高い値を,過蓋咬合群は低い値を示した.以上の結果から,齲蝕罹患経験や不正咬合は増齢的に小児の咬合機能の発達に強い影響を及ぼしていることが確認された.