小児歯科学雑誌
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ラットの脛骨骨幹端部における軟骨内骨化に及ぼす亜鉛の影響
安井 久人西田 郁子西岡 孝浩横溝 唯史打和 智子福島 直樹野村 信人
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2001 年 39 巻 1 号 p. 79-90

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抄録
亜鉛は必須微量元素の一つであり,成長発育において重要な役割を果たしている.本研究は,亜鉛が脛骨骨幹端における軟骨内骨化に及ぼす影響について検索を行った.
材料は生後5週齢のWistar系雄ラット(40匹)を用い,対照群,亜鉛欠乏食群,低亜鉛食群(50%),高亜鉛食群(150%)について検索した.
1.骨塩量
亜鉛欠乏食群と他の3群の間には有意差が認められ,亜鉛欠乏食群が低値を示した.低亜鉛食群と高亜鉛食群の間にも有意差が認められ,低亜鉛食群が低値を示した.
2.病理組織学的所見
対照群と比較して,亜鉛欠乏食群では増殖帯細胞が増加し,肥大帯軟骨細胞の配列は不規則になっていた.柱状間隙の石灰化基質は減少し,石灰化基質を侵食する軟骨吸収細胞は大幅に減少していた.骨梁部分の骨化も遅延し,類骨もみられた.亜鉛摂取量の増加に伴い,軟骨細胞は緻密に配列し,軟骨吸収細胞の増加がみられた.さらに,軟骨組織から骨組織への置換,骨芽細胞の増加,骨梁の緻密化がみられた.亜鉛摂取量が増加した高亜鉛食群では,さらにその傾向が強くなり,対照群と比較しても軟骨内骨化による骨形成の促進が認められた.
3.血液学的所見
Ca,Ca/Pは対照群と高亜鉛食群の間,亜鉛欠乏食群と高亜鉛食群の間,低亜鉛食群と高亜鉛食群の間にはそれぞれ有意差がみられ,高亜鉛食群が高値を示した(p<0.01).C1は3群間で高亜鉛食群が低値を示した.Naは亜鉛欠乏食群と低亜鉛食群の間,亜鉛欠乏食群と高亜鉛食群の間,低亜鉛食群と高亜鉛食群の間にも有意差がみられた.LDHは対照群と低亜鉛食群の間,ALPは対照群と亜鉛欠乏食群の間,亜鉛欠乏食群と低亜鉛食群の間にはそれぞれ有意差がみられた(p<0.01).
以上の結果,成長発育期ラットの脛骨骨幹端において,亜鉛摂取不足は軟骨内骨化による骨形成を抑制する.さらに,亜鉛摂取量を増加させることにより骨形成作用が促進されることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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