小児歯科学雑誌
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齲蝕活動性試験結果と齲蝕現症間の関連性(第2報)
細矢 由美子吉田 至純後藤 譲治
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2001 年 39 巻 3 号 p. 568-578

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抄録

齲蝕活動性試験結果が齲蝕現症を反映しているか否かを確認することを目的に,3種類の齲蝕活動性試験法を用いて検討を行った.
齲蝕活動性試験(試験)には,カリオスタットTM(三金),RDテスト®(昭和薬品)とミューカウント®(昭和薬品)を用いた.初回齲蝕活動性試験時(初回時)におけるHellmanのDental AgeがIIAからIVAの小児71名に対し,5年から9年間にわたる1年ごとの試験結果と口腔診査結果をまとめた.すべての被験者について,Dental Age別に1年ごとの試験結果と齲蝕現症(df+DF歯数蝕重症度指,df+DF歯率,d+D歯数,齲数)間の相関関係を比較した.さらに,すべての被験者に対してすべての試験時とDental AgeのIIAからIVAに最初に到達した時期についても同様に相関関係を比較した(P<0 .05).
今回用いた3種類の齲蝕活動性試験中,試験結果と齲蝕現症間に有意な正の相関を多数のDental Ageで示したのは,カリオスタット48時間値(CAT48)であった.また,Dental Age別にみると,IIIB,IIICとIVAに到達直後のCAT48の試験結果と齲蝕現症間に有意な正の相関がみられた.齲蝕活動性試験結果は,高い齲蝕罹患状態下で常に高い値を示すわけではなく,試験結果が常に齲蝕現症しているわけではなかった.しかし,定期診査により新たな齲蝕の発生が抑制されている場合には,CAT48の結果は,齲蝕現症を強く反映していた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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