演者らは1996年から中国上海師範大学付属幼稚園の園児を対象とした歯科疾患実態調査を実施している.そこで,1996年度と1999年度の3歳から5歳の園児334名の口腔検診表,口腔内写真および歯列模型から得られた結果について比較検討を行い,以下の結論を得た.
1.齲蝕罹患者率は3歳から4歳時での増加率が著しく,齲蝕の低年齢化を示した.
2.齲蝕罹患歯率と一人平均齲歯数は1996年に比べ,やや減少傾向が認められた.
3.処置歯率は1996年に比べ,やや増加傾向が認められた.
4.歯肉炎罹患率は1996年に比べ,著しく減少した.
5.不正咬合では,反対咬合の発現率が1996年に比べ,やや増加傾向が認められた.
6.歯牙異常では,黒色性歯牙色素沈着の発現率が1996年に比べ減少傾向が認められた.