2001 年 39 巻 4 号 p. 865-871
今回我々は,本邦における歯科恐怖症の判断基準を設定することを目的に,日本人一般青年231名(平均年齢195歳)に対し歯科恐怖に関するアンケートDFSを行い以下のような結論を得た.
1.DFS値は男子44.09,女子46.24で過去の報告同様,女子の方が高い傾向を示し,その得点分布については諸外国とほぼ同様の結果が得られた.よって今後この日本語版DFSを,歯科恐怖のスクリーニング調査として用いても差し支えないものと思われた.
2.歯科に対して抱く印象を正,および負に大別し,DFS値の相違を検討したところ,正の印象を有する者(33.9点)に対し,負の印象を有する者(54.5点)は有意に高い値を示した(p<0.01).
3.因子分析の結果,DFSの設問を4要素に分けることができた.これは,歯科恐怖の因子が,個人によって様々な組み合わせであることを意味しており,DFS高得点が20設問全てにおける高得点ではないことを示唆している.ある個人の歯科恐怖が,DFSの4要素のうち,どの因子への恐怖によるかを知ることは,実際の歯科臨床において有用であると考えられた.