抄録
今回著者らは,歯科に対する恐怖心と過去の治療経験の関係を明らかにし,小児がどのような原因で歯科に対して強い恐怖心を抱くに至るかを解明する目的で,小児期の治療歴の明らかな青年69名(平均年齢16.7歳)に対し歯科恐怖に関するアンケートDFSを行い以下のような結論を得た.
1.DFS値は男子29.64,女子37.54で過去の報告同様,女子の方が高かった.これらはともに,第1報で報告した日本人一般青年の値と比べ低い値を示した(P<0,01).
2.歯科に対して抱く印象とDFS値の関係を検討したところ,正の印象を有する者(27.75)に対し,負の印象を有する者(48.28)は有意に高い値を示した(P<0.01).
3.因子分析の結果,DFS値との関係を認めたのは歯科に対する印象のみで,実際の治療歴や過去の記憶との関係を示す因子は存在しなかった.
4.各設問のDFS点数分布より,5歳以上でのレストレイナー使用経験のある患者は,性格的に恐怖心が強く歯科適応が遅いタイプと考えられた.しかし,このような患者であっても継続的に定期診査を続けている場合,一般青年よりDFS値が高くなることはなかった.本調査では,幼児期の治療歴と歯科恐怖の間に何ら関係を認めなかったが,青年期に歯科に対し悪い印象を持つ患者はDFS値も高く,幼児期の歯科適応に問題があることから,その対応には十分な注意が必要であることが示唆された.