低年齢児を含めた小児の歯科治療に際し,侵襲が少なく円滑な歯科治療を行うことを目的に,通法の局所麻酔と笑気吸入鎮静法下での局所麻酔において,局所麻酔時の小児の内部行動,外部行動を観察し,あわせて年齢群別,複数回処置時の検討を行った.
1.笑気下局麻群は局麻群に比較して,局所麻酔時の内部行動(RR)の延長,外部行動(BE,VAS)の減少から緊張や痛みの緩和効果がみられた.
2.年齢群別の局麻群において局麻時の痛み刺激に対して,内部行動(RR)が短縮したことから,増齢的に緊張するものと思われた.笑気下局麻群において,外部行動(BE)は増齢的に減少した.
3.同一患児で複数回処置した場合,局麻群と笑気下局麻群との比較では,内部行動(RR),外部行動(BE,VAS)において処置回数の影響はうけなかった.
4.同一患児で複数回処置した場合,局麻群における2群(5~7歳)では,治療回数とVASに有意な変化が認められた.しかし,笑気下局麻群では年齢による内部行動(RR)および外部行動(BE,VAS)への影響はみられなかった.
以上,小児に対し,笑気吸入鎮静法を用いて,局所麻酔を行った時の表出する内部行動と外部行動の観察の結果,笑気吸入鎮静法下で歯科治療を行うことは,痛みを緩和し,その結果,良好な内部行動,外部行動が得られ,行動療法上有効であることが明らかになった.
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