小児歯科学雑誌
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39 巻 , 5 号
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  • 倉田 康弘
    2001 年 39 巻 5 号 p. 937-947
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    思春期以前の小児の顎関節症についての検討は少なく,顎関節症症状を伴わない小児の顎関節円板に関する報告は本邦において認められない.そこで,顎関節症症状を伴わない小児(6歳~14歳,30人)及び顎関節症症状を伴う小児(10歳~15歳,66人)におけるMR画像の検討を行ったところ以下の知見を得た.
    1.顎関節症症状を伴わない小児において16.7%(5/30)が関節円板の前方転位を認め,さらにその20.0%(1/5)が復位を伴わない関節円板前方転位であった.
    2.顎関節症症状を伴う小児の80.3%(53/66)に関節円板の前方転位を認め,さらにその73.6%(39/53)が復位を伴わない関節円板前方転位であった.
    3.関節円板の変形は,顎関節症症状を伴わない小児において10.0%(3/30),顎関節症症状を伴う小児の59.1%(39/66)に認めた.
    4.Joint effusionは,顎関節症症状を伴わない小児において認められず,顎関節症症状を伴う小児の45.5%(30/66)に認めた.
    以上の結果より顎関節症症状を伴う小児において,関節円板障害の状態は決して軽症でなかった.そして特に注目すべきは,顎関節症症状を伴わない小児においても2割近くに病的状態を認めたことである.これらの事実は,小児歯科医が,低年齢児期から顎関節への関心をもち配慮の必要性を強く示唆した.
  • 井下田 繁子
    2001 年 39 巻 5 号 p. 948-958
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低年齢児を含めた小児の歯科治療に際し,侵襲が少なく円滑な歯科治療を行うことを目的に,通法の局所麻酔と笑気吸入鎮静法下での局所麻酔において,局所麻酔時の小児の内部行動,外部行動を観察し,あわせて年齢群別,複数回処置時の検討を行った.
    1.笑気下局麻群は局麻群に比較して,局所麻酔時の内部行動(RR)の延長,外部行動(BE,VAS)の減少から緊張や痛みの緩和効果がみられた.
    2.年齢群別の局麻群において局麻時の痛み刺激に対して,内部行動(RR)が短縮したことから,増齢的に緊張するものと思われた.笑気下局麻群において,外部行動(BE)は増齢的に減少した.
    3.同一患児で複数回処置した場合,局麻群と笑気下局麻群との比較では,内部行動(RR),外部行動(BE,VAS)において処置回数の影響はうけなかった.
    4.同一患児で複数回処置した場合,局麻群における2群(5~7歳)では,治療回数とVASに有意な変化が認められた.しかし,笑気下局麻群では年齢による内部行動(RR)および外部行動(BE,VAS)への影響はみられなかった.
    以上,小児に対し,笑気吸入鎮静法を用いて,局所麻酔を行った時の表出する内部行動と外部行動の観察の結果,笑気吸入鎮静法下で歯科治療を行うことは,痛みを緩和し,その結果,良好な内部行動,外部行動が得られ,行動療法上有効であることが明らかになった.
  • 中村 均, 吉田 明弘, 福島 知典, 朝田 芳信, 前田 隆秀
    2001 年 39 巻 5 号 p. 959-965
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯および幼若永久歯の深部齲蝕に対し,感染歯質を完全に除去することなく歯髄保存処置を可能とする抗菌薬を添加した裏層剤を用いた間接あるいは直接覆髄法における臨床経過を,臨床所見ならびにエックス線写真所見より長期観察したところ,以下の結果を得た.
    1.乳歯132歯および幼若永久歯40歯の合計172歯の深部齲蝕処置に対し,抗菌薬を添加した裏層剤を間接覆髄あるいは直接覆髄に用いたところ,臨床成功率は95.3%と高い値を示した.予後不良例では,直接覆髄法がその大部分を占めていた.
    2.年齢別臨床成績では,3~5歳の低年齢で処置後の経過不良が集中していた.
    以上のことより,明らかに歯髄処置を要するような深部齲蝕に対し抗菌薬添加裏層剤の応用は有効であり,今後小児の齲蝕治療への応用を検討したい.
  • 武田 康男, 小池 多賀子, 竹辺 千恵美, 野中 歩, 石井 光治
    2001 年 39 巻 5 号 p. 966-973
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は超音波検査による口唇口蓋裂(以下CLPと略)の出生前診断(以下USDと略)後の対応と受容支援の問題の検討を目的とした.1994年からの7年間のCLPのUSDと告知,出生前カウンセリングの有無等を調査し,カウンセリング例からUSDと出生前カウンセリングの問題点を検討し次の結果を得た.(1)口唇裂を含むCLP 152例中,38例がUSDによって裂を検出された.38例中,27例(71.1%)が出生前にCLPの告知を受けた.(2)検出後,産科医の出生前の対応には三つのパターンがあった.第1は告知しない,第2は告知する,第3は告知し受容支援チームと連携する.告知後,出産までにカウンセリング等の支援チームとの連携が無かった症例が21例(告知例の77.8%)存在した.(3)8家族が当科の出生前カウンセリングを直接受けた.(4)産科医との連携例では,告知後のカウンセリングは時間的空白をあけなかった.(5)カウンセリング等を行った11例において,家族は種々の支援すべき問題を有していた.(6)CLPのUSDは出産を前提とする.その為にはUSD後の告知に続いてカウンセリングを速やかに実施することが重要である.(7)告知とカウンセリングは,家族の状況で実施か否か,また誰を対象に行うか検討すべきである.
  • 細矢 由美子, 後藤 譲治
    2001 年 39 巻 5 号 p. 974-979
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レーザー齲蝕診断器DIAGNOdentTMを用いて乳歯と永久歯の齲蝕象牙質の状態が測定値に及ぼす影響と感染象牙質除去の判定に本装置の使用が有効であるか否かを観察した.視診,触診とエックス線診査により,C0からC2と診断された平均年齢7歳4か月の患児17名の乳歯41歯,43部位と平均年齢13歳10か月の患者41名の永久歯70歯,73部位をKaVo社のDIAGNOdentTM(チップA)で測定した.同一部位を5回ずつ測定し,平均値を求めた.視診,触診,エックス線診査とDIAGNOdentTMの測定値に加え,歯を切削して治療を行った場合については,感染の範囲を確認して最終診断を行った.統計処理には,ANOVA,Fisher's testもしくは相関係数の検定(P<0.05)を用いた.得られた結果は下記のとおりである.
    1.最終診断名がC2の場合の術前測定値ならびに軟化象牙質除去後の測定値と軟化象牙質の色,硬さ,乾・湿の状態間の相関関係を比較した結果,術前の測定値と軟化象牙質の状態間に有意な相関がみられた.乳歯については,乾・湿と術前測定値間に有意な相関がみられ,乾燥しているほど測定値が高かった.永久歯については,色および硬さと術前測定値間に有意な相関がみられ,色が濃く,硬いほど測定値が高かった.
    2.最終診断名がC2の部位に対する術前と軟化象牙質除去後の測定値の平均値は,乳歯が28 .3と6.3,永久歯が225と6.4であり,乳歯と永久歯間に有意差はみられなかった.
  • 堀 稔, 樋口 かさね, 橋本 正則, 加我 正行, 小口 春久
    2001 年 39 巻 5 号 p. 980-985
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レジン系及びグラスアイオノマー系シーラントとエナメル質との接着力を調べるため以下の実験を行った.矯正治療のために抜去された小臼歯頬側面エナメル質を平坦にし,各種シーラントをメーカー指示に従い接着させ,37℃ の水中に24時間保存した後,微小引張試験にて接着力を測定した.その結果,レジン系シーラントはグラスアイオノマー系シーラントよりも接着力が有意に高い値を示した.ティースメイトF-1が35.4±13.4MPa,クリアシールFが25.4±9.6MPa,フルオロシーラントが36.7±11.7MPa,フジIIILCが14.8±9.2MPaであった.破断面を走査型電子顕微鏡で観察し,破壊様式を分類した結果,いずれの試料でも材料内部での凝集破壊が最も多く見られた.これは界面での接着力が材料の強度よりも強いことを示している.以上の結果より,シーラントはエナメル質に十分な接着力を有することが証明された.
  • 岩崎 智憲
    2001 年 39 巻 5 号 p. 986-995
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    叢生歯列と咀嚼機能の関係を明らかにするために,各対象者のarch length discrepancy(ALD),咬合接触個数(ICP),4つの咀嚼筋のEMGをHellmanの歯齢IICからIVAまで継続して記録した.対象者はIVAの歯列から1)正常男子,2)叢生男子,3)正常女子,4)叢生女子の4群に分けた.その結果,a)ALDは,男女ともに歯齡について叢生群と正常群との問に有意差を認めたが,IICにおいては男女ともに叢生群と正常群との問に差を認めなかった.b)ICPは女子叢生群でIIIBからIIICで正常群より有意に少なかった.c)自由咀嚼周期はIICおよびIIIAにおいて女子叢生群の方が女子正常群よりも有意に長かったが,男女共に歯齢の増加とともにその差が減少した.d)バースト期間はIICにおいて女子叢生群の方が女子正常群よりも有意に長かったが,歯齢の増加とともにその差が減少した.
    以上のように,叢生群と正常群との間に形態的な違いが明らかでないIICで,EMGに機能的差異がみられたことから,叢生はIIC以降の後天的な要因だけで発生するのではなく,IICにおいて既に存在する機能的な因子も関与する可能性が示唆された.したがって,乳歯期における詳細なEMG分析によって将来発生する叢生が予測できる可能性が示唆された.
  • 田中 庄二, 村上 幸生, 高森 一乘, 吉田 美香子, 落合 邦康, 渡部 茂, 藤沢 盛一郎
    2001 年 39 巻 5 号 p. 996-1001
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    各病型の歯周疾患において,特定の細菌種が関与していることは良く知られている。しかしながら,小児の歯周疾患における口腔微生物叢の生態および発症における歯肉縁上プラークの役割は,ほとんど明らかにされていない。そこで,小児(2歳7か月~16歳)の歯肉縁上プラーク中の歯周病原性細菌の検出をそれぞれの細菌に特異的モノクローナル抗体を用いたイムノスロットブロット法にて行った。その結果P.gingivalisに陽性反応を示したプラークの割合は経年的に増加したが,A.actinolnycetemcomitansのそれは,8歳~12歳まで増加し,以後13歳~17歳では減少していた。これらの結果から,小児の歯肉縁上プラーク中においても歯周病原性細菌が棲息するとともに,年齢の増加とともに,主要歯周病原性細菌のP.gingivalisおよびA.actinomycetemcomitanの遷移がみられることが明らかになった。
  • 鈴木 総郎, 高木 正道, 田口 洋, 野田 忠
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1002-1009
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,正常咬合の小児,および前歯部反対咬合や過蓋咬合といった咬合異常をもつ小児の,顎運動中の咀嚼筋の末梢性制御機構を明らかにする目的で行った.前歯部正常被蓋の成人被験者7名を対象として,正常咬合と反対咬合(Overjet-1mm)の2種類の咬合状態でタッピングできるバイトブロックを,前歯部と大臼歯部に分割可能で,垂直的咬合関係ができるだけ同じになるよう作製した.正常咬合ブロックタッピング時の咬筋と側頭筋の筋活動を基準に,反対咬合ブロックタッピング時の筋活動を筋電図的に解析した.
    咬筋の筋活動は,正常咬合タッピング時と反対咬合タッピング時との間に大きな違いは認められなかった.側頭筋では,前歯ブロックタッピング時の活動減弱,ならびに大臼歯ブロックタッピング時の活動増加という反応パターンが,反対咬合ブロックタッピング時に増強した形で認められた.一方,反対咬合時の側頭筋活動量は,どのブロックタッピングにおいても正常咬合時よりも著しく減少した.また,反対咬合タッピング時の側頭筋の活動量には,被験者間でのバラツキが大きく認められた.本実験結果は,下顎後退筋である側頭筋が,反対咬合時には過度に伸展されていることに起因していると考えられた.このことから,筋紡錘の感覚情報は咀嚼運動中のSlow closing phaseにおける閉口筋の反応様式を変化させている可能性が示唆された.
  • 広瀬 弥奈, 八幡 祥子, 松本 大輔, 丹下 貴司, 五十嵐 清治
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1010-1016
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯垢の齲蝕誘発能における口腔内部位特異性を調べるために,上顎前歯部唇側(UAB)と口蓋側(UAL),上顎臼歯部頬側(UPB)と口蓋側(UPL),下顎前歯部唇側(LAB)と舌側(LAL),下顎臼歯部頬側(LPB)と舌側(LPL)の左右両側を合わせた8部位から採取した歯垢中のミネラル量を測定し,Ca,P,F量とCa/Pの部位の差の有無について比較検討した.また,歯垢中ミネラルの存在様式を明らかにするために,各成分間の部位別相互関係についても調査し,以下に示す結論を得た.<1.歯垢中ミネラル量は,二元配置の分散分析の結果,Ca量,P量およびCa/Pともに危険率0.01%で部位の差が認められた.F量においては,危険率5%で部位の差が認められた.いずれもLALが最も高く,LPBが最も低い値を示した.また,Scheffeの多重比較検定の結果では,Ca,PおよびCa/PにおいてLALが有意に高かった.<2.各ミネラル間の関連性を相関関係を基に調べた結果,CaとPの間にはUALを除き有意に強い正の相関が認められた.特に唾液腺開口部に近い下顎舌側面部で顕著であった.またCa/Pが高いほどF量が多くなる傾向にあった.これらのことから,歯垢中ミネラルは互いに関連しながら存在し,CaとPは何らかのリン酸カルシウムの形で存在し,Fは特にCa量に依存していることが示唆された.
  • 小野寺 妃枝子, 伊藤 みや子, 村田 典子, 赤坂 守人
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1017-1024
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Wits分析は上下顎歯槽基底部の水平的位置関係の評価としてANBの補助として用いられている.低年齢においても上下顎歯槽基底部の前後的な位置を把握するのにWits分析は有効な分析法の一つと考えられる.日本大学歯学部附属歯科病院小児歯科に来院した反対咬合を有する乳歯列期37名ならびに混合歯列期32名の側貌頭部エックス線規格写真を用い,乳歯列ならびに混合歯列における反対咬合の顔面形態の評価にWits分析を用いることの有効性を検討し,以下の結論を得た.
    1.反対群および正常群のAO-BO値は,反対群は正常群に比べIIA,IIIAともに有意に大きい値を示した.
    2.Wits分析と他の顎顔面形態分析との関係において,Wits分析とANBの関係は反対群と正常群のIIA,IIIAのいずれにおいても有意な正の相関を示した.Wits分析とSN to occlusal plane angle,cant of occlusalplaneの関係は反対群と正常群のIIA,IIIAのいずれにおいても有意な相関は示さなかった.以上のことから,Wits分析は乳歯列および混合歯列期の反対咬合の上下顎歯槽基底部の前後的位置の評価する分析法としてANB分析の補助として有効であることが示唆された.
  • 岩崎 智憲, 小椋 正
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1025-1035
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    成長発達期における叢生者の第一大臼歯の移動様相を明らかにするため,Hellmanの歯齢IIIAからIVAにかけて経年的に得られた叢生者の側貌頭部エックス線規格写真を用いて,叢生者の第一大臼歯の顎骨に対する前後的位置ならびに歯軸の成長発達に伴う変化を調査し,以下の結論を得た.
    1.ANS-PNSとMe-Goについて,IIIA,IVAいずれの時期も男女ともに叢生群は正常群より小さかった.
    2.上顎第一大臼歯のIIIAからIV Aまでの前方移動量は男女とも叢生群は正常群より有意に大きかった.
    3.IIIAでの∠U6-Pal.Pl.は男女とも叢生群は正常群より小さく,上顎第一大臼歯は遠心に傾斜していた.その後,IIIAからIVAまでの∠U6-Pal.Pl.の変化量は男女とも叢生群は正常群より有意に大きく,上顎第一大臼歯は大きく近心に傾斜した.
    4.IIIAからIVAまでの下顎の第一大臼歯の前方移動量は男女とも叢生群と正常群の間に有意差を認めなかった.叢生者の上顎第一大臼歯はIIIAでは正常者より遠心に傾斜して萌出するが,その後歯齢の増加に伴い大きく近心に傾斜し,IVAでは正常者より近心に移動することが示された.
  • 桜井 有子, 丹下 貴司, 広瀬 弥奈, 五十嵐 清治
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1036-1047
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,永久歯エナメル質初期齲蝕病変の再石灰化に及ぼすフッ化物およびキシリトールの效果について解明することである.再石灰化過程を種々の条件下で検討するためSingle thin section法およびpH-cycling法を用いたin vitro人工齲蝕モデルを応用した.得られた結果は次の通りである.
    1.再石灰化能は未処理群と比較してNaF群およびキシリトール+NaF群で,有意な再石灰化が認められた.
    2.キシリトール単独の再石灰化能では有意な差は認められなかった.
    3.SEMで観察した再石灰化処理後のエナメル質の内部構造は,健全エナメル質とは大きく異なり正常なエナメル小柱が失われ,大型の棒状,板状の構造が出現した.
    4.表層下再石灰化部およびエナメル質表層の付着生成物の微小領域エックス線回折による測定では大部分がハイドロキシアパタイト,そのであると同定された.
  • 重田 浩樹
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1048-1058
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    目的:機能的状況や解剖学的形態の変化が,顎関節部負荷に及ぼす影響を調べるために,標準的な顎顔面形態や顎関節形態の特徴を再現した3次元有限要素モデルを構築した.今回の目的は,咬合支持域や下顎頭長軸角の変化が,顎関節部負荷にどのような影響を及ぼすのかを検討することである.方法:標準的な乾燥頭蓋骨を基準として,顎関節部を含む下顎骨の3次元有限要素モデルの構築を行った.このモデルは,下顎枝を簡略化し,下顎頭と下顎体は剛体要素で結合させた.また,生体の上下関節腔を有限要素法で再現するために,下顎頭と関節円板,関節円板と側頭骨下顎窩の境界に接触要素を付与した.咬合支持域や下顎頭長軸角の変化による噛みしめ時の下顎頭の変位量や変位方向,関節円板の応力分布を求め,顎関節部にかかる負荷について検討した.結果:
    1.噛みしめを行った場合の関節円板の応力分布は下顎頭に沿って生じており,かつ外前方部の応力が大きくなっていた.
    2.咬合支持域が後方歯欠損を示す両側咬合の場合や片側咬合の場合に顎関節部にかかる負荷が増大していた.
    3.下顎頭長軸角が大きくなるに従い,関節円板の応力は中央部から外前方部にかけて大きくなる傾向を示した.結論:咬合支持域や下顎頭長軸角の変化は,顎関節部負荷にきわめて大きな影響を及ぼすことが示された.
  • 佐野 富子, 田邊 義浩, 野田 忠
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1059-1068
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回著者らは,歯科に対する恐怖心と過去の治療経験の関係を明らかにし,小児がどのような原因で歯科に対して強い恐怖心を抱くに至るかを解明する目的で,小児期の治療歴の明らかな青年69名(平均年齢16.7歳)に対し歯科恐怖に関するアンケートDFSを行い以下のような結論を得た.
    1.DFS値は男子29.64,女子37.54で過去の報告同様,女子の方が高かった.これらはともに,第1報で報告した日本人一般青年の値と比べ低い値を示した(P<0,01).
    2.歯科に対して抱く印象とDFS値の関係を検討したところ,正の印象を有する者(27.75)に対し,負の印象を有する者(48.28)は有意に高い値を示した(P<0.01).
    3.因子分析の結果,DFS値との関係を認めたのは歯科に対する印象のみで,実際の治療歴や過去の記憶との関係を示す因子は存在しなかった.
    4.各設問のDFS点数分布より,5歳以上でのレストレイナー使用経験のある患者は,性格的に恐怖心が強く歯科適応が遅いタイプと考えられた.しかし,このような患者であっても継続的に定期診査を続けている場合,一般青年よりDFS値が高くなることはなかった.本調査では,幼児期の治療歴と歯科恐怖の間に何ら関係を認めなかったが,青年期に歯科に対し悪い印象を持つ患者はDFS値も高く,幼児期の歯科適応に問題があることから,その対応には十分な注意が必要であることが示唆された.
  • 島袋 鎮太郎, 河野 英司, 中出 修, 川瀬 俊夫, 五十嵐 清治
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1069-1077
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor;以下bFGF)とトランスフォーミング増殖因子(transforming growth factor-β;以下TGF-β)が単独ないし共存下で小児上顎骨の歯槽突起から得られた骨芽細胞様細胞(infant human alveolar process of the maxilla-derived osteoblastic cells:以下HAB)の増殖・分化に及ぼす効果を明らかにすることである.実験の結果,
    1.bFGF(2.5ng/ml)とTGF-β(0.5ng/ml)はHABの細胞増殖を促進し,ALP活性に対し,抑制的に作用した.
    2.TGF-β(1.0ng/ml)はHABの細胞増殖を抑制し,ALP活性に対し,促進的に作用した.
    3.TGF-β(0.5ng/ml)+bFGFはHABの細胞増殖をさらに促進し,ALP活性に対し,さらに抑制的に作用した.
    4.bFGFはmRNA発現に対して,I型コラーゲンとALPでは顕著な変化はなくオステオカルシンに対し促進的に作用した.
    5.TGF-β はmRNA発現に対して,I型コラーゲンとALPでは顕著な変化はなくオステオカルシンに対し抑制的に作用した.本研究の結果より,bFGFとTGF-β がHABに対して増殖および分化の調節作用を有するとが示された.
  • 宮新 美智世, 仲山 みね子, 石川 雅章, 小野 博志, 高木 裕三
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1078-1087
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の外傷で受診した小児患者48名が後継永久歯萌出後までの継続的診査に応じた.その結果,受傷した乳前歯90歯について,臨床経過を評価するための長期的経過観察を行うことができた.
    90歯のうち15歯は受傷時に失われ,14歯は初診時に抜歯となった.残り61歯の内訳は,歯周組織損傷をうけたものが55歯で,硬組織損傷を受けていたものが6歯であった.歯周組織損傷歯の臨床経過としては,歯冠変色,歯髄腔狭窄,歯髄病変,および動揺度亢進を示したものがそれぞれ26%,29%,22%,9%であり,また後継永久歯に形成異常が認められたものが60%あった.初診時に保存された歯では60%に何らかの異常所見が観察されていた.また,異常所見が観察された時期を見てみると,動揺亢進の75%が受傷後1か月以内に,歯髄病変の75%が6か月以内に,歯髄腔狭窄のほぼ半数が1年以内にそれぞれ観察されていた.歯冠変色を生じた12歯のうち9歯(75%)に歯髄腔狭窄が,2歯(17%)に歯髄病変がそれぞれ観察された.歯髄腔狭窄は受傷時の年齢が低い患児の歯や,歯根未完成であった歯に多く認められ,歯髄病変は脱臼程度が重度であった歯や,歯根完成歯および歯根吸収が生じていた歯に多い傾向があった.
    一方,硬組織損傷の場合,歯冠破折歯は長期間にわたり保存できたが,歯根破折歯の多くは長期間の保存が困難であった.
  • 加我 正行, 小林 雅博, 大川 昭治, 今 政幸, 吉田 英史, 三浦 治郎, 村田 翼, 橋本 正則, 小口 春久
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1088-1094
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    グラスアイオノマーセメントは齲蝕予防に重要なフッ素を徐放し,組織親和性,審美性および歯質接着性などの利点を有する.本研究の目的はCaO-P2O5-SiO2-Al2O3ガラス短繊維(アスペクト比:5.0±0.9)をグラスアイオノマーセメントに添加し,機械的強さの向上および生体に安全な歯科用セメントを開発することとした.試験片はグラスアイオノマーセメントの粉末にガラス短繊維を添加し液と練和して硬化させた.雰囲気相温度37℃,相対湿度100%の条件下にて24時問保持した.その後,静的引張試験および3点曲げ試験を行った.
    その結果,ガラス短繊維を添加した試験片の引張強さおよび曲げ強さは0wt%の試験片と比較して向上し,ガラス短繊維を50wt%添加した試験片においては約2倍以上の増加を示した.また,セメント被膜厚さはガラス短繊維の添加に伴い増加した.破断面のSEM観察において,ガラス短繊維がグラスアイオノマー内に異方向に分散しているのが確認された.さらにガラス短繊維の一部はセメントマトリックスと反応し,化学的に結合していることが示唆された.よって,グラスアイオノマーセメントにガラス短繊維を添加すると繊維の形状効果および繊維表面の化学反応によって機械的特性が著しく向上するという結果が得られた.
  • 鈴木 欣孝, 渡部 茂
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1095-1099
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の齲蝕予防法を確立することを目的に,唾液が口腔内各部位のpHの変動にどのような影響を及ぼしているかについて検討を行った.pH測定部位は上顎第一大臼歯頬側面(UPB),下顎中切歯舌側面(LALi),上顎中切歯唇側面(UAB)とし,pH測定にはISFET電極を用いた.まず,pHと唾液分泌速度の関係を調べるために,UPBにおけるpHおよび反対側耳下腺唾液分泌量(Lashley Cup使用)を同時に測定した.
    次にUPB,LALi,UABにおいてクエン酸による舌尖部刺激前後のpHを各部位同時に経時的に測定した.その結果,耳下腺唾液分泌速度の上昇とともにUPBにおけるpHは徐々に上昇した.唾液分泌速度は刺激後,約6.6秒で上昇を開始し,13秒後まで最も速い分泌速度を示した.pHはややそれに遅れて上昇を開始し,2分33秒後に最大値を示した.
    一方,舌尖部刺激による口腔内3か所のpH変化はUPBとLALiにおいては,暫時上昇し,最大pHの平均値はUPBで6.32±0.38,LALiで7.17±0.12であった.しかし,UABについては,ほとんど変動が認められなかった.以上のことから,口腔内各部位のpHは唾液の影響を強く受けていることが示唆された.
  • 山本 誠二, 壺内 智郎, 金子 末子, 土肥 範勝, 中藤 尚子, 仲保 香織, 仲井 雪絵, 岡崎 好秀, 松村 誠士, 下野 勉
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1100-1106
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    検体郵送による齲蝕活動性試験カリオスタット検査の有効性を検討するため,4つの異なる郵送方法を試み,通法と比較,検討を行った.
    成人50人に対し,通法に従いプラークサンプルを綿棒にて同時に2本採取した.そして,この操作を1週間ごとに4回実施した.各回とも,1本の綿棒は通法に従い37℃ で24時間毎に72時間までカリオスタット値ならびにpH値の測定を行った.他の1本は,綿棒を乾燥しないように密封後郵送するもの(綿棒群),綿棒をアンプルに入れアンプルごと郵送するもの(アンプル群),綿棒を乾燥しないように密封後冷蔵にて郵送するもの(低温綿棒群),そして綿棒をアンプルに入れアンプルごと冷蔵にて郵送するもの(低温アンプル群)の4つの条件で郵送後,通法と同様な操作を行った.その結果,通法pH値と各郵送法pH値との間の相関係数を比較すると,低温綿棒群と最も高度の相関関係が認められた.
  • 山本 誠二, 壺内 智郎, 土肥 範勝, 中藤 尚子, 仲保 香織, 仲井 雪絵, 岡崎 好秀, 松村 誠士, 下野 勉
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1107-1111
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは,検体郵送法によるカリオスタット試験における培養時間や郵送条件について検討し,その有効性について第1報で報告した.本報では,試料の採取時期について検討したので報告する.
    対象は,岡山県下の某保育園児(0~5歳の計176人)で,春,夏,秋,冬の年4回のカリオスタット検査を全て受けた64人である.方法は,毎回の検査時に各被検児に対して,通法に従って1本の綿棒で上顎臼歯部頬側よりプラークを採取し(通法群),カリオスタット試験液に投入した.次に,2本の綿棒で同様にプラークを均等に採取した後,それぞれの綿棒が乾燥しないように別々のビニールの小袋に密封した.最初の試料は通法に従い,37℃ で72時間まで培養し,48時間後,72時問後にカリオスタット値の判定およびpH測定を行った.小袋に密封した綿棒は,1つは常温(常温郵送群)で,他方は低温(低温郵送群)で,当科宛てに郵送した.当科に到着後直ちに,綿棒を試験液に投入し,通法群と同様に培養,結果判定を行った.
    その結果,すべての季節において通法群と低温郵送群および常温郵送群との問には相関関係が認められたが,気温が上昇する夏場においては低温郵送群が常温郵送群に比較して通法群と統計的に高い相関係数が得られることが示唆された.
  • 松田 恵里子, 船津 聖子, 浅里 仁, 向山 賢一郎, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1112-1120
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    レーザー血流計は組織血流を非観血的に,かつ持続的に観察する装置で,歯科領域においても歯肉や歯髄血流への応用が行われているが,そのほとんどは反射型プローブを用いたものであった.そこで本研究はノイズを少なくするため開発された透過型プローブを用いて,従来同期併用されていた心電計に比べ,簡便に計測できる脈拍計を使用し,その有効性を比較,検討した.結果は以下の通りであった.
    1.歯髄血流と脈拍,心拍は同期した血流波形が認められ,簡便な脈拍計の使用は心電計の代用として有効であった.
    2.透過型レーザー血流計は,反射型のものに比べノイズの影響を受けにくかった.
    3.レーザー血流計は歯髄の異常像の客観的把握についても有用であった.
  • 船津 聖子, 松田 恵里子, 西 康代, 浅里 仁, 網野 重人, 向山 賢一郎, 井上 美津子, 佐々 龍二
    2001 年 39 巻 5 号 p. 1121-1127
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児おけるより確実な歯髄診断法として,透過型レーザー血流計の小児への応用を検討した.まず,従来用いられてきたシェル型プローブを改良し,簡便かつ迅速に計測可能なノギス型プローブを開発し,シェル型と比較,検討するとともに,実際に小児患者の歯髄血流の測定に応用した.ノギス型とシェル型の両プローブによる計測波形の比較には,成人3名の上顎切歯(生活歯および失活歯)を用いた.また,外来来院児46名(平均年齢8歳8か月)の乳歯および永久歯の歯髄血流測定をノギス型プローブを用いて行った.結果は以下の通りであった.
    1.ノギス型プローブは,シェル型同様に歯髄の生死判定が可能であった.
    2.小児において,乳歯は永久歯に比べて歯髄血流値が大きく,また分散も大きい傾向がみられた.
    3.乳歯の歯根完成歯は歯根吸収歯に比べて歯髄血流値が大きく,また分散も大きい傾向を示した.
    4.小児の永久歯の歯髄血流値は,成人の永久歯の歯髄血流値と比べて明らかに大きい値を示した.
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