2001 年 39 巻 5 号 p. 1121-1127
小児おけるより確実な歯髄診断法として,透過型レーザー血流計の小児への応用を検討した.まず,従来用いられてきたシェル型プローブを改良し,簡便かつ迅速に計測可能なノギス型プローブを開発し,シェル型と比較,検討するとともに,実際に小児患者の歯髄血流の測定に応用した.ノギス型とシェル型の両プローブによる計測波形の比較には,成人3名の上顎切歯(生活歯および失活歯)を用いた.また,外来来院児46名(平均年齢8歳8か月)の乳歯および永久歯の歯髄血流測定をノギス型プローブを用いて行った.結果は以下の通りであった.
1.ノギス型プローブは,シェル型同様に歯髄の生死判定が可能であった.
2.小児において,乳歯は永久歯に比べて歯髄血流値が大きく,また分散も大きい傾向がみられた.
3.乳歯の歯根完成歯は歯根吸収歯に比べて歯髄血流値が大きく,また分散も大きい傾向を示した.
4.小児の永久歯の歯髄血流値は,成人の永久歯の歯髄血流値と比べて明らかに大きい値を示した.