抄録
本研究は超音波検査による口唇口蓋裂(以下CLPと略)の出生前診断(以下USDと略)後の対応と受容支援の問題の検討を目的とした.1994年からの7年間のCLPのUSDと告知,出生前カウンセリングの有無等を調査し,カウンセリング例からUSDと出生前カウンセリングの問題点を検討し次の結果を得た.(1)口唇裂を含むCLP 152例中,38例がUSDによって裂を検出された.38例中,27例(71.1%)が出生前にCLPの告知を受けた.(2)検出後,産科医の出生前の対応には三つのパターンがあった.第1は告知しない,第2は告知する,第3は告知し受容支援チームと連携する.告知後,出産までにカウンセリング等の支援チームとの連携が無かった症例が21例(告知例の77.8%)存在した.(3)8家族が当科の出生前カウンセリングを直接受けた.(4)産科医との連携例では,告知後のカウンセリングは時間的空白をあけなかった.(5)カウンセリング等を行った11例において,家族は種々の支援すべき問題を有していた.(6)CLPのUSDは出産を前提とする.その為にはUSD後の告知に続いてカウンセリングを速やかに実施することが重要である.(7)告知とカウンセリングは,家族の状況で実施か否か,また誰を対象に行うか検討すべきである.