小児歯科学雑誌
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下顎頭の骨変形を伴う若年者の顎関節症
太田 宅哉鶴山 賢太郎
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2002 年 40 巻 4 号 p. 616-626

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抄録

本研究は若年者に発症する関節円板障害と下顎頭の病的骨変形(変形性顎関節症)との関連を調べることを目的として行った。対象者は平成8年6月から平成13年12月までの5年6か月の間に日本大学松戸歯学部付属病院小児歯科部を受診した7~15歳(平均年齢13歳0か月)の男子20名,女子72名(男女比1:3.6)の計92名とした。MR撮像は0.5Tまたは1.0TのMRスキャナーおよび顎関節専用コイルを用いて両側性に行った。顎関節MR撮像は,矢状断,前頭断のスライスを各々5枚ずつとし,スライス厚は4.0mm以内とした。
下顎頭の病的骨形態は,骨皮質の断裂を伴う吸収性骨変化をsurface irregularities,骨辺縁部の局所的不透過性増生をosteophyteに分類した。その結果,被験者92名中12名(男子1名,女子11名)に下顎頭の病的骨変形が認められ,うち1名は両側の下顎頭に認められた。病的骨変形が認められた下顎頭形態の内訳はsurface irregularitiesが7関節,osteophyteが6関節であった。下顎頭の病的骨変形が認められた12名における関節円板復位の有無は,2名(17%)が復位を伴う関節円板前方転位であり,10名(83%)は復位を伴わない関節円板前方転位であった。関節円板前方転位の程度の内訳は,軽度関節円板前方転位が1名(8%),中等度関節円板前方転位が8名(67%),高度関節円板前方転位が3名(25%)であった。関節円板形態は12名中2名(17%)が変形を認めないbiconcaveであり,10名(83%)が変形の進行したbiconvexであった。joint effusionは下顎頭に病的骨変形の認められた12名中3名(25%)に認められた。
本研究より,若年者に発症する下顎頭の病的骨変形は関節円板障害と高い相関があり,関節円板前方転位の病的なステージが進行する(中等度~高度の関節円板前方転位,関節円板変形の進行)に従い下顎頭の病的骨変形発症の危険性が上昇することが示唆された(p<0.01)。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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