抄録
中学生における歯周状態の変化を把握するために広島市内の中学生を対象として経年的に調査した。検診後には歯周保健指導を行い,歯周状態の変化について検討した。対象は1998年度に1年次であった生徒,116名(男子59名,女子57名)であった。歯周状態の評価は,Oral Rating Index(ORI)を用いた。
検診後は生徒自身のORI値による評価を知らせ,歯周病に関するプリント「保健室便り」を配布した。
1. 3年次を除きORIの平均値に性差が認められ,女子の方が男子よりも歯周状態は良好であった(1年次:p<0.05,2年次:p<0.01)。
2.男子では学年が上がるにしたがってORIの平均値が上昇した(p<0.05)。女子においては3年次でORIの平均値が減少したが,1年次から2年次にかけてORIの平均値が上昇した(p<0.01)。
3.男子は学年が上がるにしたがって歯周状態が不良を示す-1の割合が減少した。女子において-1あるいは-2を占める割合が減少した。以上より,経年的調査においてORIによる歯周状態の評価とプリント形式で配布される「保健室便り」を活用した歯周保健指導が生徒の口腔衛生意識向上の一助になると思われた。