小児歯科学雑誌
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リン酸酸性フッ化ナトリウム溶液が光硬化型修復材の色調に及ぼす影響
梅津 糸由子内川 喜盛荻原 和彦
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2003 年 41 巻 1 号 p. 118-132

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抄録
リン酸酸性フッ化ナトリウム(以下APF)溶液が光硬化型修復材の色調に及ぼす影響を知るため,溶液浸漬前後の光硬化型修復材の色調を測定し,さらに溶液浸漬後の試料表面を走査電子顕微鏡にて観察した.
光硬化型修復材は,Fuji II LC®,Vitremer®,F2000®,AP-X®,Z 100®の5種類を用いた.APF溶液はフローデン A®および自作の溶液を用い,比較対照は精製水とした.1回の浸漬時間は4分間とし,4回の浸漬を行い,浸漬前後の色調を分光式色差計を用いて測定し,色差(ΔE*ab)を算出した.統計処理はt-testならびにANOVAを用い,有意水準は5%とした.
その結果,APF溶液への4分間の浸漬前後の色差(ΔE*ab)は,精製水群と比較してZ 100®以外の光硬化型修復材において有意に高値を示した(P<0.05).また,浸漬回数の増加にしたがい色差は上昇し,浸漬4回でII LC®が最も大きく4.07,AP-X®は3.23,VitremerRは2.81,Z 100®は2.32,F 2000®は最も小さく0 .94であり,材料間で差が認められた.走査電子顕微鏡による観察でAPF溶液浸漬後の全試料表面に浸食が観察され,色差との関連性が示唆された.
以上より,APF溶液の塗布は光硬化型修復材表面形状を変化させ,それにより修復材料の色調に影響を及ぼすことが明らかとなった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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