保育園において幼児の給食摂取状況を観察し,幼児の摂食における咀嚼回数,咀嚼時間に関する特徴を検討した.保育園の4歳児3名を対象とし,異なる献立4回分の摂食状況をビデオに撮影し,咀嚼回数を計測した.対照として,成人3名に幼児と同じ献立の1回の給食を摂取してもらい,同様に咀嚼回数を計測した.幼児の咀嚼回数は,480~1379回で,献立ごとの3名の平均咀嚼回数は,分散分析の結果いずれの献立においても有意差は認められなかったが,個人によって咀嚼回数に違いが認められた.また,幼児と成人の咀嚼回数を比較すると,幼児の平均咀嚼回数は1117.7回,成人の平均咀嚼回数は561.7回で,幼児の咀嚼回数は成人の約2倍であった.同一食品において,一口ごとの咀嚼回数について変動係数を求めたところ,幼児では変動係数の値が成人に比べて大きく,一口ごとの咀嚼回数にばらつきが認められた.