小児歯科学雑誌
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線維性骨異形成症が疑われた症例の長期観察
荒井 清司岡本 春憲山口 晴信松根 健介酒巻 裕之近藤 壽郎前田 隆秀
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2004 年 42 巻 4 号 p. 569-574

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抄録

3歳5か月から日本大学松戸歯学部附属歯科病院にて口腔管理を行っている患児に発症した線維性骨異形成症を経験し臨床経過を観察したので報告する。
1.視診で9歳3か月時には,右側上顎乳犬歯部から右側上顎乳臼歯部に骨膨隆を認め,10歳5か月時には,右側上顎乳犬歯部から右側上顎結節を含む範囲に骨膨隆の拡大を認めた。
2.パノラマエックス線写真において9歳3か月時には右側上顎乳犬歯部から右側上顎乳臼歯部に境界やや不明瞭なスリガラス状の病変を認め,10歳7か月時に病変の大きさの拡大とともにスリガラス状から不透過像へと病変の成熟度の変化が認められた。
3.患児の成長とともにエックス線上で病変の増大と成熟が認められた。
本疾患と類似疾患との鑑別診断は,臨床症状からの診断が困難であり,エックス線写真,病理組織像,骨シンチグラムなど総合して確定診断を慎重に行うべきである。そして処置に関しては,患児の成長と病変による機能障害を考慮した上で,方法や時期を選択するべきであると考えられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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