2004 年 42 巻 4 号 p. 575-579
著者らは,唇顎口蓋裂の顎裂部に近接する,奇形した突起を伴う上顎中切歯の歯内療法処置を経験した。上口唇内側粘膜における潰瘍の疼痛が,奇形歯の持続的刺激により引き起こされた。奇形歯の複雑な歯髄腔形態を3DXK®(モリタ社製)を用い診査,処置を行った。
1.3DX(R)画像より,唇側突起部内の歯髄腔と本来の中切歯の歯髄腔とが交通していることが確認された。
2.奇形歯の形態修正を行ったところ,唇側面からの露髄を認めたため,抜髄処置とガッタパーチャポイントによる根管充填を複雑な歯髄腔に対して行った。
3.現在テンポラリークラウンを奇形歯に装着し,経過観察を行っている。治療後は患者に潰瘍及び疼痛が無く,良好な口腔内環境を維持している。