小児歯科学雑誌
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悪性腫瘍患児における口腔病変とカンジダの検出について
富沢 美恵子三富 智恵松山 順子
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2004 年 42 巻 5 号 p. 668-674

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抄録
悪性腫瘍に罹患した小児の口腔病変の発現状態とその経過を明らかにする目的で,新潟県立ガンセンター新潟病院小児科に入院中の悪性腫瘍に罹患した小児54名について,定期的に口腔診査を行った。また,化学療法などの治療による全身状態の悪化に伴って発症しやすい口腔カンジダ症の予知のためカンジダ検査を行い,以下の結果を得た。
1.症例は,男児33名,女児21名で,年齢は,生後6か月から15歳1か月に分布していた。
2.診断の内訳は,急性リンパ性白血病22例,急性骨髄性白血病12例,悪性リンパ腫7例,神経芽腫4例,その他9例であった。
3.口腔病変は54名中32名(59%)に観察され,歯肉の発赤・腫脹13例,口内炎10例,毛舌7例,口腔カンジダ症4例,出血斑3例,びらん・潰瘍2例,移植片対宿主病2例,アフタ1例であった。口内炎は,化学療法終了後5-7日目に多く発現していた。
4.カンジダは,54例中9例(17%)で検出された。4例は口腔カンジダ症を発症しており,うち2例は,連続して頻回に検出されたことから,定期的なカンジダ検査と口腔診査の有効性が示された。9例中6例は要治療齲蝕歯を有していた。
5.小児悪性腫瘍は一旦治療が開始されると歯科治療が困難になるため,治療開始前の歯科診査と治療開始後の定期的な口腔ケアが重要である。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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