抄録
コンポジットレジンのフッ素イオン徐放性を制御する目的で,水溶性フッ化物であるFBNaの表面をシランカップリング剤であるMPTS(2%,5%)で処理してポリシロキサンコーティングを行った。このコーティングフッ化物を配合したコンポジットレジンのフッ素イオンの溶出量と機械的性質について検討した。フッ化物の表面をコーティングすることによって28日間のフッ素イオン積算溶出量は,非コーティングフッ化物を配合した場合の1/2以下に減少させることができた。また溶出速度についても同様の効果が得られ,経時的な溶出速度の変動の小さい持続的な溶出特性を示した。
機械的性質については,曲げ強さおよび曲げ弾性係数ともに非コーティングの場合と大差ない値を示した。本研究の結果から,フッ化物表面をポリシロキサンでコーティングすることによって,コンポジットレジンのフッ素イオン溶出速度を制御することが可能であることが示唆された。