小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
放射線治療後に多数の初期齲蝕を生じた症例へのフッ化物配合2剤型歯磨剤の応用
平野 慶子岡崎 好秀日野 香苗杜 小沛下野 勉徳永 忠之山岸 敦押野 一志
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 43 巻 5 号 p. 689-696

詳細
抄録

放射線治療を行い,唾液が減少した初診時年齢10歳の患児を約2年間口衛生指導下にて経過観察したところ,以下の知見を得た.
1.放射線治療は42日間行われた.放射線治療開始後安静時,刺激時唾液分泌量はともに減少し,124日後にはほとんど認めなくなり,770日後でも元の唾液分泌量の半量以下であった.
2.唾液緩衝能は安静時,刺激時唾液ともに同様に低下したが,放射線治療開始後770日後に安静時唾液は,ほぼ治療前と同様の値となった.
3.放射線治療開始後652日後に歯科に来院した時にはすべての歯に脱灰を認めたため,フッ化物配合2剤型歯磨剤の供与とブラッシング指導,フッ化物塗布を行った.蛍光反射装置を使用して,脱灰後の治療の評価を行ったところ,すべての測定歯で輝度の上昇を認め,再石灰化が確認された.その初期変化率は47日後で4.2~10.2%であり,119日後で4.2~18.3%であった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top