2006 年 44 巻 4 号 p. 581-590
歯が喪失する原因の多くは齲蝕と歯周疾患であり,これらの疾患は個々の不規則な生活から起こる生活習慣病とされている。その根源は小児期にあるとも言われており,疾患抑制に向けてこの時期の口腔の健康に対する知識の向上,適切な指導による健康観の育成と健康行動の確立が不可欠である。
著者らは小児期の口腔衛生指導のための的確な指標を得ることを目的に東京都練馬区立小学校13校の5年生計780名を対象に定期健康診断,齲蝕活動1生試験(カリオスタット®),アンケートを実施し,生活習慣の相違が齲蝕の発生にどの様に関連があるのか,さらには継続的に行っている齲蝕活動性試験(カリオスタット®)が生活習慣とどのように関連しているのか分析を行い,検討を行った。その結果
1.アンケート分析結果と齲蝕の罹患状況と関連の認められた要因は,「歯磨きの習慣」「歯ブラシの交換時期」「歯磨き後の飲食」「朝食の規則性」「齲蝕予防」「歯肉の状態」「カリオスタット(R)」であった。
2.カリオスタット®と関連の認められた項目は,「齲蝕の有無」「歯磨きの習慣」「歯磨きの回数」「夕食後の飲食」「間食の量」「間食の時間帯」「ジュース類の摂取」「口臭の自己認識」であった。